近年、ブロックチェーン技術や5G技術等を背景に普及が加速しているものにメタバースがあります。メタバースはオンラインコミュニケーションも可能であるため、リモートワークが進んだ現代でも注目されている技術の1つです。このメタバースでは開発するエンジニアの需要も高まっています。ここではメタバースの開発をするにあたって必要なスキルを紹介します。
目次
メタバースとは?
メタバースは「仮想空間」と訳されます。このメタバースとはオンライン上で構築される3次元空間のことです。具体的に言うとサマーウォーズのOZの世界観がメタバース空間に該当します。メタバース上ではユーザーはアバターというキャラクターを作成し、その自由に動かすことが出来ます。そして、オンライン上でアバター同士はコミュニケーションをとることができ、コミュニティの形成なども行うことが出来ます。また、近年のメタバースではライブを開催したり、店舗販売を行ったり、NFTコンテンツも売買することもできます。
メタバースの需要が上がっている理由
メタバースの需要が高まっている理由は様々ありますが、ここでは代表的な理由を2つ紹介します。
オンラインコミュニティの成長が加速している
リモートワークなどの加速によりオンラインコミュニケーションがここ数年格段に増えました。その結果、オンラインコミュニティで会話をする抵抗感が社会的に減ってきました。そのため、アバターを使ったコミュニケーションが受け入れられる土台が整ったことで、メタバースが普及しました。
テクノロジーの成長
メタバースは高度なグラフィックや動きの多さなどにより、ハイスペックPCやスマートフォン、通信速度が必要です。インフラ面のテクノロジーの向上や、5G通信が出てきたことにより、これらの問題が解決しました。また、ブロックチェーン技術の発達により、代替不可能なコンテンツを交換できるようになったことでより多くの楽しみ方を提供することができ、メタバースの普及に繋がりました。
メタバース上流案件の仕事内容
ここではメタバースの上流案件の仕事内容を紹介します。
要件のヒアリング、課題抽出
まず要件のヒアリング、課題抽出です。クライアントの要望をヒアリングし、要件一覧や課題一覧として抽出していきます。場合によっては想定されるビジネスモデルの全体感やプロセスフローなどを作成し、クライアントと円滑にコミュニケーションを取れるように工夫しながらヒアリングを行います。
仕様の提案
ヒアリングを行い要件の一覧化、課題抽出が完了したら、仕様の提案を行います。ここではクライアントの状況にもよりますが、以下のようなことを記載します。
目的
メタバースで解決したい課題やユーザーに提供するサービスをどのように活用するかなどを記載します。目的によってメタバースで使用する技術も変わってきますので重要なポイントです。
ターゲット
メタバースで参加する想定のターゲットを定義します。ターゲットに海外の方も含まれる場合、海外対応のサービスが良いなどプラットフォームの作成方法であったり、他社のプラットフォームを活用する場合にはどのプラットフォームを選定するかであったり、検討するべき内容が変わってきますので重要なポイントです。
プラットフォーム
プラットフォームの選定を行うか、プラットフォームを構築するか、検討します。
対応デバイス
対応デバイスを選定します。プラットフォームによっては「スマホは非対応」というものもあるので注意が必要です。
メタバース内で実施したいこと
メタバースで実施する内容を記載します。想定プロセスフローなども記載してもよいと思います。
運営方法
メタバースでは運営も重要です。誰がどの部分の運用を行うかなど運用プロセスの概略を定義します。
データの収集方法・分析方法
メタバースではデータを収集し、分析するプロセスも重要です。どのようなデータを収集し、どのようなプロセスで分析を行うのか概略の方針を定義します。
アーキテクチャ設計
メタバースのアーキテクチャ設計を行います。アーキテクチャ設計は、システムの骨格・作り方を定めるもので、アプリケーション開発を本格的に実施するまでに実施すべきものです。今後の基本設計や詳細設計において、円滑に設計が出来るようにある程度、どこで何の技術を用いるか、どのようなツールを用いるかを定義します。これにより、後続プロセスの属人化も排除することが可能です。また、インフラ面の構築とアプリケーション面の構築、この2つを明確に切り分けることにより並行作業を可能として効率化を図る側面もあります。
メタバースではこのシステムのアーキテクチャ設計以外にもメタバース空間の建造物に関するアーキテクチャ設計やコンテンツ企画や、ユーザー体験の設計なども求められます。
進捗管理、コードレビュー
メタバースの上流工程を担当する場合、進捗管理も重要になります。下流工程のスケジュールが芳しくない場合や、技術レベルに不安がある場合にはコードレビューなども行って、チーム体制の強化も行います。進捗管理では全体感を把握するために、進捗管理ミーティングを行ったり、WBSを作成して作業の細分化を行ったりする役割があります。また、下流部隊の進捗をとりまとめ、クライアントに状況報告を行う等の作業が含まれる場合もあります。
技術、ツール検討
メタバースで利用する技術検討、ツール検討を行います。例えば、ゲームエンジンという3DCG作成から、ゲームコンテンツで頻繁に登場するキャラクターの動きや処理まで一貫して行えるツールであれば、Unity、Unreal Engineなどがあります。また、3DCGを作成することに特化したツールではMaya、Blender、3DSMAXがあります。メタバースの上流工程のエンジニアはこれらのツールの中でなにを利用するか検討したり、開発ツールや開発言語としてなにを使うのか定義をすることになります。
上流工程を担当する上で必要なスキル
ここではメタバースの上流工程を担当するのに必要なスキルを紹介します。
必須スキル
まずは必須スキルです。コミュニケーション能力や論的思考力など一般的なビジネススキルはもちろん必須で必要ですが、技術経験としては以下の経験が必要になります。
上流工程の経験
メタバースの上流工程を担当するにあたって、他のシステムでも良いので上流工程の経験をしているのは重要です。それには以下のような理由があります。
要件のヒアリングの仕方等を理解している
要件のヒアリングではプロセスフローやイメージ図を都度作成して、要件を的確に引き出さなければなりません。うまく引き出せないと後続の基本設計などで大きなトラブルが発生したり、要件から大きく変わってしまったりしてうまく作業が進まないことがあります。そのため、要件のヒアリングの方法を理解していることは重要です。
他のメンバーとの調整やコミュニケーションが円滑にできる
上流工程では検討する範囲が広いため、なかなか自らの知識では解決できないことも多いです。その時にきちんと迅速に関連している担当者を巻き込んで解決に導けるか、この調整能力が上流工程では特に求められます。
何をどこまで理解しなければならないのか理解している
上流工程は技術のすべてを把握している必要はありません。ただし、業務上判断ができるまでには知識を迅速に身につけなければなりません。この感度を把握していて、速やかにクライアントに判断材料を与えられるようにすることが重要です。
歓迎スキル
続いて歓迎スキルです。こちらもプログラミング言語を理解しているなど様々な歓迎スキルがありますが、特に重要なものを紹介します。
メタバース開発経験
歓迎するスキルはざっとまとめるとメタバースの開発経験です。この開発経験はどのような経験でも構いません。下流工程でプログラミング開発をしていても良いですし、コンテンツ企画に参加していても良いです。また、アバターを作成する業務に携わっていても問題ありません。重要なのはメタバースに触れたことがあるということです。メタバースに触れることでどのような知識が必要なのか、どのように作業を進めればよいのか、ある程度イメージができます。そのため、即戦力になりやすいため、上流工程の開発現場で歓迎されるでしょう。
メタバース開発を進める上でのポイント
メタバースの上流工程で開発を進める最大のポイントはやはり他のシステム開発の上流工程と同じくコミュニケーションです。
1つはクライアントから要望を聞き出すコミュニケーション能力、これは後続の基本設計などに影響も与えないためにも必要になります。念入りにヒアリングを行い、聞き洩らしのないようにしましょう。
もう1つ重要なポイントが内部でのコミュニケーションです。検討している部隊が異なると実は似たような部分を検討していて、違った要件になってしまうことが少なくありません。その時に内部で適切にコミュニケーションを取って課題を表面化できるかが重要です。他の領域と検討していることが少しでも被りそうであれば、該当領域の担当者とコミュニケーションを取るようにしましょう。
メタバースの開発手順
メタバースの開発手順は大きく4つに分かれます。
- メタバースを設計する
要件定義後、その要件に沿って設計することが重要になります。
- 3Dアセットを制作する
設計が完了したら、3Dアセットを制作します。3Dアセットとは、DCCツールにより制作された3Dモデルと、それに関連するものです。
- コンポーネントを開発してアタッチする
メタバースの開発ではコンポーネントをという3Dアセットに動きを加えるプログラムを行って動きをつけます。このコンポーネントを開発してアタッチすることで3D空間に動きをつけることができます。
- テスト&リリース
最後にテストを行って、リリースを行います。
メタバース案件を担当する上での注意点
メタバース案件を担当する際の注意点は、やはりスキルアンマッチが発生しないかということでしょう。メタバースは他のシステムと異なる技術が必要です。その技術をどこまで理解しているのかきちんと説明できないとスキルアンマッチに繋がってしまいます。自分のスキルを適切に伝え、自分の能力に合った担当にアサインされるようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、メタバースの上流工程について解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。