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業務改善で問題点の洗い出しが重要な理由
ビジネスの場ではより効率的に業務を行うために業務改善を行います。しかし、ただ業務改善をするというだけでは非効率で、業務改善では問題点の洗い出しがとても重要になります。問題点をきちんと洗い出さずに、問題点を確認次第業務改善を行ってしまうと以下のようなデメリットが生じてしまいます。
- 費用対効果が悪い問題点を解決してしまう
- 前後の業務との兼ね合いや例外処理まで認識をせずに問題解決を行ってしまい、手戻りが発生する
したがって、業務改善では時間がかかっても適切なステップを踏んで、問題点を洗い出すことがとても重要になります。また今後労働人口が減少していく日本では、働き手である若手を獲得することが難しくなってきます。企業で勤務する働き手が減少しても同じ質を担保するために、業務改善で1人当たりの生産性と質を上げていくことが重要になります。
業務改善の流れ
業務改善を行うときはどのような流れを踏めば良いのかをここでは紹介します。
STEP1:業務の見える化を行う
まずは対象となる業務全体の見える化を行います。見える化を行う際には業務フローなどを作成すると良いでしょう。
STEP2:費用対効果や重要度を定義し、問題点に優先順位をつける
業務フローが完成し、対象となる業務全体の問題点が浮彫になってきたら、それぞれの問題点に対して費用対効果や重要度などを定義し、問題点に優先順位をつけましょう
STEP3:問題点の改善方法の立案
問題点に優先順位をつけたら、改善策を検討します。改善策を立案する時にはシステム化やRPAなどの導入も視野にいれ、多角的に検討をするようにしましょう。また、完了予定日も明確に定めるようにしましょう。
STEP4:作業者への教育を行う
改善方法が固まったら、新たな業務フローになると思いますのでしっかり文書化して、作業者へ教育を行いましょう。文書化することでPDCAサイクルを回しやすくなります。
詳しい内容につきましては下記記事で解説しているため、是非参考にしてください
業務改善で得られる効果

業務改善により得られる効果は様々です。ここでは得られる効果を4点紹介します。
人件費の削減に繫がる
業務改善を行うことで本来やっていた作業を廃止したり、統合したりすることになります。またシステムやRPAに代替することによることで作業を減らすことができます。その結果、人件費を削減することができます。
生産性の向上
正確に業務改善を行うことで、人件費の削減だけでなく生産性も向上させることができます。ただし、システムを導入して業務改善を行った場合、短期的には保守運用費やシステムのライセンス費用などで想定よりもコストがかかってしまい、生産性の向上には繫がらないケースもあります。システムを導入する際には長期的なスパンで計画を検討し、費用対効果を考えた方が良いでしょう。
コアコンピタンスに注力できる
コアコンピタンスとは企業活動の中心となる活動のことです。コアコンピタンスと異なる業務(承認作業など)を業務改善により省力化することでコアコンピタンスに割ける時間が多くなります。
顧客の信頼感が向上する
コアコンピタンス業務の業務改善に注力した場合、顧客の信頼感を向上させることができます。例えば、業務改善により納期を1日短くすることが出来れば、その分顧客の業務の自由度が増え、顧客は自社に対してより信頼感を持つでしょう。
業務改善で問題点の洗い出しをする4つの手法
業務改善の方法は説明しましたが、どのように問題点を洗い出せば良いのでしょうか。闇雲に考えても問題点の洗い出しを行うことは難しいです。ここでは問題点を洗い出す手法を4つご紹介いたします。
1,社内でヒアリングやアンケートを行い意見を集める
まず業務フローが作れたら実際どこに問題があるのか、現場の人に聞いてみましょう。現場の人にヒアリングすることはとても大切です。現場の作業者の意見を聞かずに独断で判断をしてしまうと費用対効果が低い業務改善になってしまったり、システムやRPAを導入しても使われなかったりする可能性があるでしょう。現場の作業者がたくさんいてヒアリングが難しいようであれば代表者を通じて意見を吸い上げてもらうようにしましょう。
2,顧客にアンケートを取る
顧客と関係がある業務の場合、顧客に求めていることを確認してみると良いでしょう。例えば、「納期は変更せずに商品仕様を決めるまでの期間を伸ばして欲しい」や「注文情報をタイムリーに把握したい」などが出てくると思います。これらの情報は、あくまで顧客の要望という形で意見は上がってきますが、業務改善をする上では非常に重要な情報です。アンケートを取った上で自社の業務プロセスを分析し、根本の原因を洗い出すようにしましょう。
3,競合他社を分析する
競合他社を分析するのも問題点を洗い出すには有用な手法です。競合他社の情報を集めて、自社と比較してみましょう。比較を行うことにより、自社の強みや競合他社の強みが分かるはずです。その中で自社が解決できそうな問題を洗い出して解決を試みると良いでしょう。とはいえ、競合他社の内部情報までは分からないので、表に出ている情報から推察して問題点を洗い出すことになるので、自社の業務フローなどを正確に確認し、問題点の根本原因を明確にする必要があります。
4,フレームワークを活用する
「顧客にアンケートを取る」や「競合他社を分析する」のは課題の洗い出しという点では非常に有用ですが、その問題を解決するために自分の業務のどこを改善するべきか、どのように改善するべきかまでは教えてくれません。そのような時はフレームワークを利用すると良いでしょう。原因分析に使われるフレームワークにはロジックツリーや特性要因図などがあります。フレームワークを使うことでより論理的に分析を行い、問題点を特定することができます。
問題点を洗い出す際に押さえておくべきポイント
ここまで業務改善をするメリットと問題点を洗い出す手法に関して解説しました。しかし、問題点を洗い出すのは結構大変です。以下のポイントを理解して時間を掛けて取り組むように意識をするようにしましょう。
現状把握に十分な時間をとり正確に理解する
業務フローを作成したり、社内の作業者にヒアリングを行ったりすることで現状把握を行います。この現状把握には十分な時間を取って、繰り返し社内の作業者へヒアリングを行ったり、業務に関する資料を丁寧に収集・分析することで正確な業務フローを作成することを心掛けましょう。
特に気を付けなければならないのは、資料などに記載をしていない例外処理を作業者側で実施しているケースです。この例外処理は属人化している可能性が高いほか、把握せずに業務改善を行ってしまうと例外処理に対応できていないことがわかり、無意味な業務改善となってしまう可能性があります。現状把握をする際には繰り返し作業者へヒアリングを行い、正確で抜け漏れなく情報を集めるようにしましょう。
短期的な効果を重要視しすぎない
業務改善では短期的な効果に着目しすぎないように注意しましょう。短期的な効果ばかりを求めてしまうと抜本的な改善案が採用されず、費用対効果やコスト削減がいまいちな業務改善しか行えなくなってしまう可能性もあります。
例えば、抜本的な改善案の例としてはシステム導入を行う方法があります。システムを導入する際には構築費用や顧客との調整も必要になるケースもあり、導入時はコストも工数もかかることになります。また、導入後もしばらくは安定せずに保守費が多くかかることになるでしょう。しかし、1度安定化するとシステム化したところは自動で作業をしてもらえる他、1度に大量のデータを処理でき、一気に費用対効果が上がる可能性があります。このように長期的な視点での改善を行うことも念頭において解決策を検討すると良いでしょう。
従業員への周知・教育を徹底して行う
業務改善を行う際には従業員への周知や教育は徹底して行いましょう。大きな業務改善となると対象となる従業員が多く、周知や教育がないがしろになってしまうケースもあります。しかし、従業員への周知・教育が徹底して行われないと、業務が混乱してしまう他、最悪の場合だと、新たに定義した業務の方法で運用されないこともあります。
もし影響範囲が広く全員に完璧な教育を行うのが難しい場合には、キーユーザーを選定して、そのユーザーにしっかりと教育を行い、それ以外の従業員への教育や問い合せをそのユーザーに任せるという方法もあります。しっかりと従業員へ周知・教育を行い、業務改善を確実なものにしましょう。
問題点の洗い出しをする際に役立つフレームワーク
最後に業務改善をする際に役立つフレームワークを4例ご紹介します。今回、ご紹介するフレームワーク以外にも便利なフレームワークはたくさんあります。興味があればフレームワークに関して調べてみると良いでしょう。
PDCAサイクル

PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(実行結果確認)、Action(改善)の一連のサイクルのことを指します。PDCAサイクルを実行することで継続的に業務改善を行うことができます。PDCAサイクルで重要なポイントは以下の2つがあります。
- Planを立てるときには、過去のやり方を踏襲するのではなく、改善したい目標から逆算して適切な計画を立案するようにしましょう。
- 実行結果の確認は改善を行う上でとても重要になります。実行結果の確認をする際には確認するポイントを明確にして、可能な限り数値化することを意識するようにしましょう。
ECRS
ECRSは業務改善を考える上での視点と検討の順番を示したものになります。ECRSはそれぞれ以下を表します。
- Eliminate(排除):そもそもその業務が必要か、業務自体をなくすことはできないかを考えます。
- Combine(結合):業務をまとめて集中化させることができないか、まとめることで効率的に対応できる可能性がないかを検討します。
- Rearrange(代替):作業の順番を入れ替えたりすることで効率化できないか、ということを検討します。
- Simplify(簡素化):作業自体を簡略化できないかを検討します。
目的や方法もなく業務改善を行うと、漏れや重複が起きてしまいます。しかし上記の順番で業務改善を行えば、リソースを抑えながらコストを削減することが可能です。人的リソースを抑えることで、必要な業務に焦点を当てて仕事ができ、生産性も向上させることができるでしょう。
ロジックツリー

ロジックツリーとは一つの目標(解決すべき課題)に対してどのような原因があるのかをツリー上に書き表す方法になります。解決すべき課題に対して直接的な原因を考えた上でさらにその原因が発生した要因はなにかというようにミリミリと分析をしていきます。大変な作業ですが、この作業をしっかりと行うことで根本の原因を特定するができます。
バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは利益が出るまでの一連の企業活動を価値(コスト)の流れとして分析する方法になります。メインとなる主活動と主活動を支援する支援活動の2つに分けて記載をすることが一般的です。企業活動をコストの流れとして分析することで、どこにコストがかかっているのか、どの工程が高い付加価値を出せているのかを把握することができます。コストの削減に寄与する他、自社の差別化戦略の立案にも貢献することができます。

まとめ
今回の記事では、業務改善の洗い出し手法について解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。