CTOとは
CTO(Chief Technology OfficerまたはChief Technical Officer)は企業の技術部門のトップで日本語では「最高技術責任者」と訳されます。自社ビジネスの技術面でのニーズに対して責任を持つポジションで、研究や開発を行う部門で指揮をとります。
CEO、CIOとの違いに関して
CTO、CEO、CIO、はそれぞれ責任を負う領域が異なります。
【CEO(Chief Exective Officer、最高経営責任者)】
経営方針や事業戦略の策定、業務執行の統括、ステークホルダーへの情報開示などの実行が主な役割となります。
【CIO(Chief Information Officer、最高情報責任者)】
社内の情報に対して責任を持ちます。従業員が効率的に業務を実行できるよう情報システムや取り扱う情報を安全に管理する仕組みの構築が責務となります。
CTOと似ている部分もありますが、CIOは社内に対して、CTOは社外に対しての技術面でのニーズに責任を持つという点が異なります。
CTOの働き方
現代は、IT技術による製品やサービスの開発が推進される時代であるため、ビジネスを成功させる上でCTOの働き方が重要になります。実際にはCTOの役割は会社によって異なります。それぞれの企業の特色から、CTOは技術開発を推進する上で主に4つのタイプに分けることができます。
・インフラ中心のタイプ
・社内開発からヒントを得て戦略を立てるタイプ
・顧客の声に重点を置き戦略を立てるタイプ
・自社の方針をもとに戦略を立てるタイプ
インフラ中心のタイプ
社内システムなどインフラの視点から技術開発を行います。具体的には、業務データ、セキュリティ、システムの運用保守、ネットワークなどを管理し、その過程で必要な技術的な戦略を計画していきます。技術的なロードマップの策定を行うこともあります。
社内開発からヒントを得て戦略を立てるタイプ
今後社内で利用されていくであろう技術を想定し、技術的な戦略立案を行います。現在開発している(または開発を予定している)製品やサービスに対して、今後どのような技術が必要になっていくかを予想し施策を実行します。
顧客の声に重点を置き戦略を立てるタイプ
顧客と接する中で必要な技術を検討し戦略を立てます。顧客とコミュニケーションを積極的にとり、ターゲット市場を正確に把握して、開発していくべき技術を検討します。方針の決定後は、技術部門に対して効果的に開発ができるよう働きかけます。
自社の方針をもとに戦略を立てるタイプ
企業が持つ戦略をもとに市場を分析し、技術開発の方針を決定します。CEOや他のマネジメントクラスの社員と密にコミュニケーションを取り、企業の方針に従って技術戦略を構築していきます。
CTOの仕事内容
CTOは技術部門のトップの役職であり、技術に関する意思決定を行います。当然企業によってCTOが行う業務は異なりますし、細かいものを挙げていくとかなり多くなりますが、主な仕事は次の3つになります。
・技術戦略の方針決定及び推進
・技術部門、従業員の監督
・経営に関する業務
技術戦略の方針決定及び推進
技術面に関して最終決定を行い、その方針に従って戦略を推進してきます。自社のビジネスを社会に展開する上で市場動向などをチェックしながらどのような技術が必要になるか見極め、判断することになります。時には新しい技術の開発や導入を行い、市場での競争優位を確保します。
技術部門、従業員の監督
従業員の雇用やマネジメントもCTOの重要な役割となります。企業によって異なりますが、CTOは技術部門のトップとして従業員を管理することが多く、メンバーのモチベート(自社ビジネスの意義を示し、やる気を引き出す)を行うことも役割の1つです。また、事業に必要な技術を見極め、その技術を持つ優秀な人材を採用していくことも求められます。時に、技術や製品開発のプロジェクトマネージャーを担うこともあります。
経営に関する業務
CTOは経営陣でもあるため、経営に関する業務遂行も責務となります。KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を常に確認し、技術部門の予算などと突き合わせ、目標の達成度や技術面で予算に対してどれほどパフォーマンスが出ているかなどをチェックしていくことが求められます。そして、その結果に対して方針転換や調整を行う際は、ステークホルダーに対し必要な情報を共有することも求められます。また、特に技術関連の開発などのため予算が必要になった場合は、資金調達のため投資家に対し技術戦略の説明などを行うこともあります。
CTOに求められるスキル
CTOはビジネスを展開していく上で重要な決定を数多く下していく立場であり、求められるスキルも多岐にわたります。社会に必要となる製品やサービスを理解し、その開発に必要となる技術面でのニーズを正確に把握し実際に作り出していく必要があります。特に求められるものは大きく4つあります。
技術に関する理解力、応用力
CTOは自社製品やサービスにおいて技術面で責任を持つ必要があるため、新しい技術に対してのキャッチアップ能力や開発力、そしてそれをビジネスに活かしていく力が求められます。現代は新しい技術が次々と開発され、ビジネスに求められる技術も日々変化していきます。
そのため、CTOには自社のビジネスを成功させるためにも常日頃から技術を学び続ける姿勢が必要となります。
リーダーシップ
CTOは技術部門のトップであるため、組織を率いるための力強いリーダーシップも求められます。CTOはメンバーのモチベーションを高め、技術部門全体を率いていかなければなりません。スキルとは少し意味合いが異なりますが、自身が責任を持つ会社の技術方針に関して明確にビジョンを持ち、その意義を熱く語りメンバーを率いていけるようなリーダーであることもCTOに必要な資質になります。
そして、同時に冷静さも必要です。技術などの議論をする際は、自分の考えを押し通すのではなく、反対意見にも耳を傾け理解する力も求められます。自分が正しく反対の意見を持つ人が間違っているという姿勢を通すのではなく、時に自分の意見を見直し判断を下していく形でリーダーシップをとることが重要です。
戦略的思考能力、経営に関するマネジメント力
CTOは企業の戦略面での役割もあります。技術開発だけでなく、その技術を駆使して生み出す製品やサービスをどのように展開していくか戦略的な目線を持つことが求められます。技術部門の開発者は主に技術や製品の詳細な部分に注力します。
それに対し、その部門を率いるCTOはその将来にもフォーカスし、製品や技術に対して今後何が必要になっていくかなど長期的なビジョンを設定する役割があります。そして、そのビジョンを関係者に対して効果的に説明し、経営を推進していくことがCTOには必要になります。
ビジネススキル
一般的なビジネススキルも重要になります。その中でも、特に全てのステークホルダーとコミュニケーションを取る力が特に求められます。社内では技術担当者だけでなく業務担当者もいるため、業務担当者に適切に情報を伝達することも重要です。技術的な情報は時にビジネス部門の従業員には伝わりにくいため、相手が持つ知識を把握し言葉を選んで情報を伝えていく必要があります。
また、常に顧客のニーズにアンテナを張っておくことも求められるため、社外でのコミュニケーション能力や交渉力などのビジネススキルはCTOになる上でとても重要になります。
CTOになる手段・スキル・経験
企業によってCTOの理想像は異なるため、CTOになるため方法や必要な知識や経験等とは明確には決まっていません。しかし、実際にCTOになった方、現在現役で活躍されている方、CTOの募集要項などを参考に、CTOになる手段や内容を確認することができます。
CTOになるための手段
CTOになる手段は、大きくは転職、昇進、起業の3つの手段があります。まず、CTOは転職サイトなどで募集していることもあるので、それを利用してなることができます。また、自社の社員をCTOに就ける会社もあるため、昇進という手段もあります(ただし、全ての会社にCTOという役職があるわけではありません)。そして、起業してCTOとして働くという手段もあります。自分で会社を立ち上げるということなので、一番確実にCTOになれる手段であると言えます。
CTOになる上で必要な学問知識
CTOは技術の責任者となるため、必然的に技術的な分野に博識な人材であることが理想になります。そのため、CTOの候補者としては、学問の分野から見れば、プログラミング、ソフトウェア開発、ITマネジメント、サイバーセキュリティ、などの分野を専攻している人材が特に好まれます。また、顧客とのコミュニケーションに注力することをCTOに期待する企業であれば、マーケティング専攻の人物、経営面のスキルも重視する企業であればMBAホルダーが条件となる場合もあります。
CTOに求められる経験
CTOは重要な決定を行っていくポジションになるため、基本的に業務経験が浅い場合は候補者として扱われることはありません。必須の就業経験年数というものは有りませんが、一般的には15年以上IT関連の業務に携わった経験を求められます。その他にも、責任者としてシステム開発プロジェクトを率いた経験、新規事業立ち上げの経験、プロダクトロードマップの策定経験、など責任者・管理職としての経験が求められることが多いようです。
まとめ
今回の記事では、CTOについて解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。