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【ポイントまとめ】SAP導入時における業務標準化の考え方

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SAPとは

SAPの概要と導入効果
そもそもSAPとは、SAP社が提供しているERP(Enterprise Resources Planning)製品です。世界シェアではSAPは第一位(シェアは6.8%)となっており、多くの企業で使用されている製品となっています。
(参考:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2020-2025

SAPは他のERP製品と同様に各業務領域に適合したモジュールを備えており、代表的な業務領域としては「販売」「生産」「会計」といった領域をカバーしています。大まかなSAPの特徴として、これら業務領域間でのデータ連携が他ERP製品と比べてスムーズに行えるという点が挙げられます。

SAPを導入する背景
既存の社内システムが老朽化・複雑化していることによるシステム保守性の低下、およびそれに伴う保守費用の高コスト化といった課題を解決させるために、SAP(ERP製品)の導入を行うことがあります。

加えてSAP導入時には複雑化した社内システム刷新と合わせて既存の業務プロセスの見直しも行うことが多く、それにより業務プロセスの標準化といった効果を得ることができます。近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)と合わせた施策の一環としてSAP導入が行われることも多くなっています。

SAP導入のメリットとデメリット

SAP導入により様々なメリットを得ることができる一方、導入することでのデメリットもあります。

SAP導入のメリット
SAPを導入する最も大きなメリットは「業務の標準化が可能」という点にあります。

例えば導入を検討しているクライアントがグローバル企業、もしくはこれから海外進出を検討している企業であれば、本社で世界標準モデルとなるテンプレートを構築して原則それを標準としつつ、各国導入時に固有の要件(各国の商慣習および商慣習といった要件)をカスタマイズするというアプローチを取ることが可能です。

SAP導入のデメリット
大きなデメリットとして「導入コストが高額」「定期的なメンテナンスが必要」という2点が挙げられます。

「導入コストが高額」という点については、SAPそのもののライセンスコストや保守コストが高額であるというよりも、導入時に合わせて行う業務プロセスの標準化に対する工数が大きくなるという側面が強いです。

SAP(ERP)の導入効果を最大化するためには既存業務そのものを効率化・標準化することは必要不可欠である一方、そのためには既存の業務部門に対するヒアリングおよび情報システム部門と既存社内システムに対するSAP導入の影響見極め・データ活用など、多くの検討事項が発生します。

総じて導入時には大規模なプロジェクトになることが多く、多大な負荷がかかることになります。

SAP導入時に知っておくべきポイント

ここではSAP導入時に知っておくべきポイントについて説明していきます。

導入時の考え方
SAPには「Fit-to-standard(標準化の推進)」という考え方があります。

従来のパッケージ製品を導入する際には自社要件とパッケージ標準要件とのギャップを明確化し、ギャップのある部分についてはアドオン開発してカバーするか運用でカバーする、という手法が取られてきました。

この場合だと、自社要件に即したアドオンを開発したことにより開発コストが高くなる一方、システム保守性は低くなってしまう傾向があります。

一方でFit-to-standardの考え方は、先述の自社要件が起点となる考え方ではなく、パッケージ標準要件が起点となる考え方となります。

パッケージ(SAP)が用意している標準テンプレートに業務を合わせることを最優先で考え、SAPでどうしてもカバーできない部分を他のソリューションで補うというアプローチを取ることになります。

もちろんSAPでカバーできない部分が増えるということは開発コストが増加することに繋がるため、導入時に策定する要件に優先度を付けて、SAPでカバーできない部分の要件の対応要否を見極めることが重要になります。

導入形式
SAP導入時には単一の業務領域に対してだけでなく、複数の業務領域に対して導入を検討することも多いです。

そのような場合、「販売」「生産」「会計」といった業務領域ごとの単一モジュールのみの導入も複数モジュールの導入も可能です。

また、導入モジュール数だけでなく導入形式もクラウド型・オンプレミス型から選択することが可能です。

例えばSAPの代表的な製品の1つである「SAP S/4 HANA」の場合、パブリック・プライベートの両方に適合したクラウド型のライセンスや従来型のオンプレミス型を選択することができます。

導入に必要な期間
SAP標準機能のみを利用する前提で導入する場合と、標準機能以外の要件をカバーするためにアドオン開発を行う場合で大きく変わってきます。

SAP標準機能を利用する場合であれば要件定義~リリースまでに1年以内で実施することが可能ですが、アドオン開発を行う場合は開発範囲に応じて1年以上かかることが多いです。

また両方に共通する話として、導入前の計画・検討フェーズにおいて業務プロセスの標準化に対してどれだけ時間がかかるかによって、トータルで見た導入期間は大幅に増加します。

SAP導入を成功させるポイント

明確な導入効果の評価軸
導入効果の評価軸をあらかじめ定義しておくことは非常に重要です。

単純なコスト削減効果だけに着目した場合「プロジェクトコストは高額であったにも関わらず、期待した効果は得られていない」という判断になりがちです。

そのため定量的な評価だけでなく、数値に現れない定性的な評価(データ基盤構築による経営上重要な情報・指標の可視化、等)についても事前に評価軸を定義しておくことは必要です。

業務プロセスの標準化のためのコントロール
SAP導入時には業務プロセスの標準化が重要であることを述べてきましたが、導入時においては業務部門からは現行業務をそのまま踏襲したいという要望を受けることが非常に多いです。

この要望をブロックしないと、各部門間での調整や意見の集約の難易度が高くなり、標準化した業務プロセス検討が遅延するリスクが高まります。

標準化を推進していくためには、業務責任者に権限を付与してガバナンスを利かせる一方、業務のあるべき姿を検討する担当者の設置・部門横断的に業務の最適化を検討する担当者の設置、等の体制を構築することが重要です。

導入手順・事例

ここではコンサルティングファームにおけるSAPの代表的な導入事例について説明していきます。

SAP S/4 HANAの導入
日系グローバル企業がクライアントとなったSAP導入プロジェクトにおいては、導入に向けて以下のような課題がありました。

(1):各国に複数の事業会社・それぞれの会社に同じような事業部がある一方、システム基盤・データ基盤は統一されていない。
(2):(1)により各国・会社・事業部単位の業績データ集計・評価業務が属人的かつ高コスト化している。

これらの課題を解決するためにSAP S/4 HANAの導入を決め、以下のアプローチで導入していきました。

(1):グローバルで統一したデータモデル・データ整備の計画を策定
(2):各国への導入タイミング(各国一斉導入ヵ国ごとの段階的な導入か)を検討
(3):要件定義フェーズにおいて業務部門・情報部門と標準化した業務プロセスに関する徹底した検討
(4):システム要件定義~リリース

特に上記③では生産性の向上・削減工数を戦略高付加価値業務へシフト、という目的に対し、システム間の情報連携の自動化や業績データ分析・改善サイクル構築による業務量削減の観点で業務プロセスの標準化を行いました。

その結果、経営層の観点では「業績および評価指標、データの見える化」を実現し、ユーザー観点では「既存業務の自動化・効率化」といった効果を得ることができています。

まとめ

今回の記事では、SAP導入時における業務標準化の考え方について解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。

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