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失敗パターン(1) 独立後に案件が思うように獲得できなかった場合とその対策
案件を獲得する際の営業活動に失敗し、SAPフリーランスとしての案件受注に失敗するケースがあります。そのような場合、元いた会社で業務委託契約を結ぶという対策が有効です。
Aさんは実際にフリーランスとなり、前職で付き合いのあった顧客へ自分を売り込もうとしました。しかし、個人事業主としての与信の問題、SAP導入のみならず、プロジェクトマネジメントや導入後の評価、問い合わせ対応業務などの付帯役務が追加され、1人では対応できず、ことごとく新規契約を受注することができませんでした。
Bさんは、SAPの管理会計モジュールに詳しく、数年前にフリーランスのコンサルタントとして独立しました。ところが、いざ仕事を獲得しようと営業を開始しても、結局1年間、全く仕事にありつけず貯金を食いつぶし、日系のシステムインテグレーションの会社に再就職することになってしまいました。1年間のブランクと外資給与水準との差により、前職と比較して20%〜30%報酬ダウンとなりました。
このような場合、元いた会社の業務委託として働くことが効果的です。
SAPの導入検討をする企業は比較的規模の大きい会社が多いです。財務会計、管理会計、販売管理、在庫管理などそれぞれの業務領域を司る部署が存在し、それぞれの部署で属人的に業務オペレーション効率を高めてきたものをSAPで統合することになるので、SAPによる導入効果が高い=業務が複雑で大規模=大企業となるのは想像に難くありません。
まずは、元働いていた会社の別プロジェクトに辞める前から声がけをしておき、そのプロジェクトにフリーランスとして参画することも有効です。前職でのつながりもあるため、自分の実力も周りに認められているので営業もしやすいでしょう。加えて、仕事の進め方は前職で知っているはずですから、フリーランスとして最初の実績を上げやすい環境です。
失敗パターン(2) SAPのモジュールに関する知識が浅かった場合の対策
自分以外にも優秀なSAPフリーコンサルが働いている可能性があります。知識と経験で劣る場合、受注を継続できない場合も少なくありません。そのような場合、特定モジュールに習熟することが効果的です。
Cさんは、管理会計、財務会計、販売管理、在庫管理などSAPがもつモジュール全般に関する基礎知識があり、特定のモジュールに詳しい部下をアサインすることでうまくプロジェクトを成功に導いてきました。
フリーランスとして独立後も同じようなスタイルで仕事が回るかと思い、いざプロジェクトに参画してみると、別のフリーランスの方も参画していたことが発覚しました。彼は、クライアント最重要視している在庫管理モジュールに関する深い知識と経験を有していることに加えて、SAPの全モジュールに対する基礎知識を持っていました。最初はうまく連携しながら進めてはいたものの、特定モジュールに関する経験と知識量で及ばず、Cさんはわずか3ヶ月で契約解除となりました。
こうしたケースを防ぐには、特定モジュールのマニアックな機能まで習得しておくことが推奨されます。SAPは、管理会計、財務会計、販売管理、在庫管理など企業が行う業務の単位に沿った機能群を1つのモジュールとして集約しています。
モジュール単位でどの機能を使えるようにするか、使うならばどのように使うかをパラメーター設定により実現していくのですが、どのようにパラメーター設定をするかを熟知していることがSAPコンサルタントとして最低限求められるスキルになります。この知識の深さによってクライアントのSAP導入のスピードや導入後のクオリティが決まります。どこか特定のモジュールについて自分より詳しい人間はいない、と思えるまで習得しておくとクライアントから絶大なる信頼を得られるでしょう。
失敗パターン(3) 顧客業務とSAP標準機能とのマッチを説明出来なかった場合の対策
知識を顧客に説明できない場合、フリーランスとして活躍することは難しい場合があります。コンサルタントとしての合意形成力を身につけておくと有効です。
Eさんは、SAPの機能を顧客に説明した経験が少なく、フリーランスとして独立後、最初にぶち当たった壁は「何がSAPでできて、何がSAPでできないのか?」を決められないことでした。顧客からの信頼を失い、半年で契約解除、プロジェクトも大幅軌道修正が必要となり、損害賠償をEさんに請求する話まで出たそうです。
SAPに詳しくても、顧客折衝ができずにプロジェクト頓挫、さらには個人で賠償責任を負うリスクにさらされたEさん。こうしたケースを防ぐには、顧客と合意形成するという基本的なコンサルティング能力を身に着けておくが重要です。
コンサルタントとして極めて重要なスキルの一つに「合意形成力」があります。つまり、何かをクライアントに意思決定してもらうスキルです。これは一見、クライアントが決める話なので関係ないとも思われますが、重要なことはクライアントが意思決定できる材料を揃えられるか、揃った材料をベースに自分の意見(提案)を言えるかが重要です。
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今回の記事ではSAPコンサルとして独立して失敗した事例とその対策を解説しました。SAP案件を探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。