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チェンジマネジメントとは?成功を妨げる4つの要因と有名企業の成功事例をご紹介

チェンジマネジメントとは何か?8ステップの進め方と事例で解説
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チェンジマネジメントとは個人単位で変革を促す手法である

チェンジマネジメントとはマネジメント手法の1つです。組織変革の効率的な成功を促すための様々な手法を指します。組織の変革を、個人がうまく受け入れられるよう準備し、環境を整備し、そして個人をサポートし続けるための体系的なアプローチのことです。

大きな変革の時代に生きているため、先行きの見えない経営環境で生き残っていくには、大規模で複雑な変革を上手に管理していく必要があります。しかし、たとえ組織の変革がマイルストーンを達成したとしても、狙い通りの成果を得られるとは限りません。日々の業務を行う個人の存在が影響を及ぼすからです。つまり、会社で働く個人に対して変革を促していく必要があり、そのための手法がチェンジマネジメントです。

チェンジマネジメントは3つに分類される 

チェンジマネジメントは、個人レベル、プロジェクトレベル、組織レベルの3つに分類されます。

【チェンジマネジメントの分類(1)】個人レベルでのチェンジマネジメント
個人一人ひとりの変革遂行をサポートすることを意味します。個人レベルの変革を促すモデルは、Awareness(認知)、Desire(欲求)、Knowledge(知識)、Ability(能力)、Reinforcement(定着)の5つがあります。影響を受ける社員一人ひとりがこの5つの達成基準を達成した段階で、初めて変革が成功したと言えます。 

【チェンジマネジメントの分類(2)】プロジェクトレベルでのチェンジマネジメント
3つの段階を経て、プロジェクトの成果と投資収益率 (ROI)を向上させます。 

フェーズ1:アプローチの準備
チームがプロジェクトや取り組みの成功を明確に定義することを支援するフェーズです。このフェーズを通じてリーダーは次の質問に答えます。
・達成したいことはなにか?
・誰が仕事のやり方を変えるべきか?またどのように変えるべきか?
・成功させるために関与してもらう必要のある関係者は誰か?

フェーズ2:変革のマネジメント
変革プロセスを通じて個人を活性化させるフェーズです。Awareness(認知)、Desire(欲求)、Knowledge(知識)、Ability(能力)、Reinforcement(定着)の定義や、コミュニケーションプランなど、変革に必要なマネジメントプランを作成します。その後、実際にプランされたアクションを実行し、結果をモニタリングします。

フェーズ3:成果の持続
変革が継続されるための活動にフォーカスしていくフェーズです。アクションと成果をレビューし、文書化、当初プランと結果のギャップと改善ポイントを明確化します。最後に、改善アクションの担当を決め、権限を移譲し、成功のサイクルを回していきます。

【チェンジマネジメントの分類(3)】組織レベルでのチェンジ・マネジメント
組織にチェンジマネジメントを組み入れ、変革が止まることを防ぎ、さらなる変革へのスピードを高めます。組織の継続的な成長のために、 変革対応力を組織として身につける必要があります。成熟度の高い変革対応能力とは、以下のような状態を意味します。
・チェンジマネジメントを行うことが、組織規範となっている 
・共通のチェンジマネジメントプロセスやツールが、組織を通じて一貫性を持って継続適用されている 
・組織トップから現場社員まで全てが、変革を推進する上での自身の役割を知り、アクションを実行できている

チェンジマネジメントを進める8つのステップ

次は、具体的にどのようなステップを通じてチェンジマネジメントを進めていくのかについて解説します。

【ステップ(1)】変革の緊急性を意識付ける
最初のステップは「緊急性の明確化」です。なぜ今変革が必要か、自社が抱える危機と改善の緊急性を明確に定義し、社員に知らせることがないままでは、変革を進められません。多くの社員が変革に抵抗するのは、危機感や切迫感が欠けていたり、当事者意識がなかったり、このままでは自社がどのような状況に陥るのか理解していない場合が多いです。

【ステップ(2)】強力な変革チームをつくる
第2ステップでは、変革を成し遂げたいと思っているメンバーを集め、変革を推進する強いチームを作ります。多くの社員を抱える組織が一丸となって変革を成し遂げるには、変革をリードする強いパワーを備えたチームが必要です。パワーとは、スキル、人脈、信頼、評判、権限などです。

【ステップ(3)】変革によって得たい成果をビジョン化する
第3ステップでは、変革ビジョンを定めます。変革ビジョンとは、「将来のあるべき姿を示すもので、なぜそのような将来を築くことに努力すべきなのかを明確に、あるいは暗示的に説明したもの」です。戦略を立てる際は下記の条件を満たしていることが推奨されます。
・会社の将来が可視化できる
・実現可能な目標を立てる
・意思の方向を明確にする
・変革のメリットがある
・簡潔に説明できる
・柔軟に対応できる

【ステップ(4)】ビジョンとそれに向かうための戦略を共有する
第4ステップでは、第3ステップで明確にしたビジョンと戦略を社内で共有します。変革推進チームが見本となり、率先して変革に向けた行動を示すのです。また、社内で共有する際には、さまざまなチャネルを活用すること、継続的に変革ビジョンを伝えるなど、社員の期待感を高める工夫も大切になります。

【ステップ(5)】ビジョンを実現しやすい環境をつくる
第5ステップでは、共有した変革ビジョンに基づいて行動しやすくなるよう、環境を整備します。変革を推進しようとする社員の行動を阻害する可能性のある、既存の構造やシステムなどを取り除き、社員が自発的に新しいアイデアを考えたり行動しやすくすることが目的です。

【ステップ(6)】短期の目標を設定し、達成する
第6ステップでは、短期で達成できる目標を設定します。社員が変革のメリットを実感するには、短期で分かりやすい成果が必要です。短期で成果の出る目標を掲げ、進捗を可視化します。また、成果を上げた社員にインセンティブを与えるなど、モチベーションに弾みをつける工夫をするのも効果があります。設定する短期の目標の例としては、新しいビジネスツールを導入して生産性があがった等の成果をだす、部署ごとに散らばっているデータを1つにまとめる、などがあります。

【ステップ(7)】より変革しやすい環境を拡大する
第7ステップでは、変革をより一層推進するために積極的な行動を起こしていきます。ここまでのステップを確実にこなせていれば、社員は変革の重要性を理解しているはずで、変革への異論や反発も起きにくくなっています。このタイミングでインフラ面を変革しましょう。また、変革推進に貢献する人材を発掘し、採用と教育も同時に進めます。

【ステップ(8)】変革の成果を振り返り、次のアプローチを考える
第8ステップでは、これまでの変革の成果を社員に示し、変革することそのものを企業文化として定着させることを考えます。各部署のリーダーは、積極的に変革の定着化に努めると共に、後継者や新たなリーダーを育成します。

チェンジマネジメントを阻害する4つの要因

これらの「チェンジマネジメント 8ステップ」を通じて変革に取り組んでも、必ずしも順調に進むとは限りません。社内には少なからず変革に反対する社員がいます。反対社員の存在そのものがチェンジマネジメントを阻害する要因です。ボストンコンサルティングのDaniel Jeanie氏は著書の中で、反対社員達をモンスターに例えて4つに分けています。

【チェンジマネジメントの阻害要因(1)】タコツボドン(自分の仕事以外に無関心)
タコツボドンとは、組織の縦割りのタコツボに留まり、他部署の業務に興味・関心を示さない社員のことです。所属部署の自分の担当外の業務は一切受け付けず、「それはウチには関係ない」というスタンスをとるため、部署間の連携を阻害する要因となります。

【チェンジマネジメントの阻害要因(2)】ウチムキング(会社の外に無関心)
ウチムキングとは、会社や所属する部署の評判ばかりを気にし、顧客や市場に対して関心を抱かない社員のことです。顧客や市場のニーズ、競合や類似サービスの状況など外部の情報に疎いため、会社を変革する必要性を理解しません。企業が変革しようとする動きに反発する傾向があります。

【チェンジマネジメントの阻害要因(3)】ノラクラ(できない理由を述べる)
ノラクラとは、組織がチェンジマネジメントをする必要がある理由を説明されても、できない理由ばかりを述べ、行動しない社員のことです。会社の変革に対して否定的な意見しか言わないので、周りの社員の変革に対するモチベーションを下げる要因となります。

【チェンジマネジメントの阻害要因(4)】カイケツゼロ(評論家)
カイケツゼロとは、会社や事業の問題点を指摘するのみで、自分自身で解決に向けて行動しようとしない社員のことです。この評論家タイプの社員は、会社が変革をする必要がある事を説明しても、自分自身では動こうとしません。

チェンジマネジメントの成功事例

【チェンジマネジメントの成功事例(1)】Google
Googleは、社内において率先してチェンジマネジメントの手法が取り入れられ、業務に活用されています。さらにGoogleクラウドの公式ブログにおいてもチェンジマネジメントの取り組みが取り上げられているほどです。
(参考:Google流 変革を成功させる4つの「問い」とは

【チェンジマネジメントの阻害要因(2)】日産自動車
日産自動車は1990年代に社長に就任したカルロス・ゴーン氏がリバイバルプランというチェンジマネジメントを施し、再生に向けた数々の施策を実行しました。そして就任後わずか1年で著しいV字回復を成し遂げました。稼働率の低い工場の閉鎖や余剰人員の躊躇ないリストラなど徹底的なコスト削減を断行するなど、それまでの日本的家族主義の漂う経営方針を一変させたのです。そして、変わらなければいけない理由をスローガン化し、就任1年目にして見事に組織全体でのチェンジマネジメントを成功に導きました。
(参考:話題の「日産リバイバルプラン」についてまとめました

まとめ

今回の記事では変革の時代に求められているチェンジマネジメントについて解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。

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