目次
はじめに
ITコンサルタントは、企業の経営戦略や企業が抱えている課題の解決策を「IT技術」を用いてサポートします。ITシステムの導入や既存のITシステムの改善などを通じて、企業のIT戦略を支援する役割です。企業の課題を明確にして最適な提案を行うためには、ロジカルシンキング能力が必要と言えるでしょう。
また実際にITシステムを開発する場合は、SEやプログラマーともコミュニケーションを取り、開発プロジェクトを進めていく必要があります。そのためシステム開発に関する知識だけでなく、コミュニケーション能力も必要になってくるでしょう。
ITコンサルタントに必要なスキル
ITコンサルタントは、ITに関する知識や経験は必須と言えます。ITを活用してクライアント企業の課題解決や経営戦略を提案していく必要があるためです。またそれ以外にも、ITコンサルタントには多くのスキルが必要となります。以下はITコンサルタントに必要となるスキルについての紹介です。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、思考法のことです。物事を論理的に捉えて整理したり、体系立てて思考し解決策を導き出したりする場合に使用します。ロジカルシンキングを使った場合、提案内容を実施すべき理由について明確に説明することが可能となるでしょう。
一方ロジカルシンキングを用いていない場合は、導き出した解決策の理由を明示することが難しいと言えます。解決策を実施しても、効果が出ない場合も考えられるでしょう。
ITコンサルタントは効果のある解決策を導き出したり、クライアント企業に説明したりする必要があります。そのためロジカルシンキングは必要なスキルです。
コミュニケーション能力
ITコンサルタントは、クライアント企業と円滑に業務を進めていく必要があります。またITシステムを開発する場合は、開発プロジェクトメンバーとの情報交換も必要です。そのためITコンサルタントは、コミュニケーション能力が必要となります。
正確に相手の話を理解したり、自分の考えを正しく相手に伝えたりするなど、ITコンサルタントの業務を行う上では大切な要素です。コミュニケーション能力を高めることで、さまざまな情報を積極的に収集することが可能となるでしょう。
業界情報をインプットするスキル
ITコンサルタントはクライアント企業の支援を行う場合、クライアント企業が属している業界 の情報を知っておく必要があります。業界の動向やトレンド、競合他社の状況など、IT戦略を立てる上で重要な要素となるためです。
クライアント企業から業界に関しての質問が出る場合もあります。ITコンサルタントとしては的確に回答する必要があるため、クライアント企業よりも情報に精通しておくことが求められるでしょう。
そのためITコンサルタントには、経験のない業界であっても業界情報をインプットするスキルが求められます。
タフネス
ITコンサルタントの業務は、ハードワークになることが少なくありません。短い期間で最大限の成果が求められるからです。そのため業界に関しての膨大な情報量をインプットし、課題解決策をアウトプットする必要があるので、メンタル面やフィジカル面での強さが求められます。常に成果が要求されているというプレッシャーに負けないタフネスさが必要と言えるでしょう。
IT知識
ITコンサルタントには、ITの知識は必須です。最新のトレンドや技術などの情報を積極的に収集し、クライアントへの提案に活かす必要があります。ITシステムを開発することになった場合、システム構成や仕組みについての理解は必須です。開発プロジェクトをサポートするために、プロジェクトマネジメントの知識も重要となってくるでしょう。
またITコンサルタントはクライアント企業の要望をシステムに反映するため、要件定義フェーズに参画することも考えられます。システム開発の経験有無も重要となってくるでしょう。
ITコンサルタントに資格は必要?
ITコンサルタントとして業務を行う場合、特定の資格や免許は必要ありません。資格や免許がなくても、クライアント企業の要望に沿った解決策を提示したりITシステムの導入を支援したりすることができれば、業務を完結できるでしょう。
ただし新規のクライアントを開拓する場合など、自身のスキルや知識を客観的に証明する必要が出てきた場合は、資格や免許が有効となります。保有しているスキルや知識を明確にすることができるためです。転職する場合も資格や免許があれば、有利に働くと言えるでしょう。
このようにITコンサルタントは資格や免許が無くても、業務を遂行することができるため、必須ではありません。しかし転職や新規開拓などの場合には、資格や免許があれば有効活用することができます。
資格を取るメリットは?
ITコンサルタントが資格や免許を取るメリットとしては、次のようなものがあります。
スキルや知識の証明
ITコンサルタントは、自身が保有しているスキルや知識を証明することが難しい職種と言えます。なぜならITコンサルタントの業務は、資格や免許が無くても対応することができるからです。
そのため保有しているスキルや知識を客観的に証明するため、資格や免許があれば役立ちます。転職する際や新規クライアントを開拓する場合など、客観的にスキルや知識を証明することができれば有利に進めることができるでしょう。資格や免許を保有していることで受注につなげられる点がメリットと言えます。
自身のスキルアップ
ITコンサルタントが資格や免許を取るもう一つのメリットは、資格取得に取り組むことで自身のスキルアップに繋げられる点になります。業務を遂行していく中でスキルや知識、経験を身につけることは可能です。しかしこれは業務の範囲内だけに留まってしまいます。
資格や免許の取得に取り組むことで、業務で経験していない部分や不足している部分についてのスキルアップが可能です。
【未経験者向け】ITコンサルタントになるためにおすすめの資格
ITコンサルタントに役立つおすすめの資格について紹介します。ITコンサルタントとして業務を行う上で資格は必須ではありません。しかし取得することで自身の保有スキルや知識の証明となるため、ITコンサルタント業務に就きやすくなると言えるでしょう。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、企業の経営層の立場で課題解決やIT戦略の支援が可能な人材であることを証明する資格になります。IT関連の資格の中でも要求されるレベルが高い資格です。自身の客観的なスキルの証明に役立つでしょう。
ITコーディネータは、筆記試験である「ITC試験」の合格と「ケース研修」の受講が必要です。「ITC試験」には受験資格の制限のない「ITコーディネータ試験」と専門スキルを保有している人向けの「専門スキル特別認定試験」があります。
公式サイト:ITコーディネータ協会「ITコーディネータ試験」
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITに関しての基本的なスキルや知識を保有している人材であることを証明する国家資格になります。ITを活用したシステムやソフトウェア、製品、サービスを構築する上での基本的な知識、実践能力を身につけることが可能です。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「基本情報技術者試験」
CompTIA Project+
CompTIA Project+は、プロジェクトを遂行する上で必要なマネジメントスキルや知識を保有している人材であることを証明する資格になります。この資格は中規模や小規模のプロジェクトを管理するためのマネジメントスキルが対象です。実務経験でしか得られないスキルや知識を習得できる点が特徴となっています。
公式サイト:CompTIA JAPAN「CompTIA Project+」
【経験者向け】ITコンサルタントとしてキャリアアップするためにおすすめの資格
すでにITコンサルタントとして業務を行っている場合、さらなるスキルアップとしておすすめの資格を紹介します。資格に取り組むことでスキルや知識の幅が広がり、現在の業務にも役立てることが可能となるでしょう。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、高度IT技術者としてITシステムの戦略立案、要件定義や企画、設計、開発、運用に関してのスキルや知識を保有していることを証明する資格です。資格取得に取り組むことで、ITのスキルや知識だけでなく企業が抱えている課題解決のためのIT戦略の立案や計画など、上流工程のスキルや知識が身につきます。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「応用情報技術者試験」
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、企業経営にITを活用したIT戦略を提案、策定、推進ができることを証明する資格です。企業の事業戦略、業務の改革、新しい製品やサービスの開発など、企業経営に関する知識が必要となるため、ITコンサルタントとしてのキャリアアップに有効な資格となるでしょう。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ITストラテジスト試験」
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトマネジメントに関するスキルや知識を保有していることを証明する資格です。システム開発プロジェクトに関するコミュニケーションやスケジュール管理、コスト管理、品質管理など、多くのスキルを身につけることができます。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業が抱えている経営課題を診断し、適切な助言を行うことができることを証明する資格です。IT分野にとらわれず、企業経営に関するコンサルティングができるスキルや知識が身につきます。ITコンサルタントの業務に役立てることが可能となるでしょう。
公式サイト:J-SMECA 中小企業診断協会「中小企業診断士」
PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)
PMPは、プロジェクトマネジメントに関するスキルや知識、実践的なノウハウを習得していることを証明する資格です。受験する場合、実務経験や研修の受講が必須となっているため、実践で活用できる高度なスキルや知識を身につけることができます。
公式サイト:一般社団法人 PMI日本支部「PMP®資格について」
スキルアップすることでフリーランスという選択肢もある
ITコンサルタントとしての知識や経験に加え、スキルを向上させることでフリーランスとして独立するという選択も可能となります。フリーランスを選択した場合、次のようなメリットが考えられるでしょう。
得意領域に絞って働ける
フリーランスの場合、自身で対応する案件を選ぶことが可能です。そのため、自身の得意分野の案件に絞って対応することができます。
企業に所属している場合は、企業が受注した案件に対応する必要があるため、自身の裁量で選択することはできません。またクライアントから厳しいスケジュールを強要される可能性もあります。しかしフリーランスの場合は、案件を自分の裁量で選ぶことができるため、働きやすいと言えるでしょう。
高収入を狙える
ITコンサルタントは、企業に所属している場合よりもフリーランスになった方が高収入になる可能性があります。フリーランスで業務を行っている場合、自身の仕事量を増やせばその分収入につながるためです。企業に所属している場合は、給料という形で決まった額となるため、フリーランスは高収入を狙える働き方と言えます。
個人の都合と相談しながら働ける
フリーランスでITコンサルタント業務を行う場合、自分のキャリアアップを意識した案件の獲得が可能です。得意分野を強化するために多くの実績を積んだり、新しい分野のスキルを身につけるために受注の幅を広げたりすることが自由に選べます。
また仕事を掛け持ちしたり、働く場所や時間を自由に選べたりするので、個人の都合に合わせた働き方が可能です。
まとめ
今回はITコンサルタントに必要なスキル、おすすめの資格などについて紹介しました。ITコンサルタントになるためには、必須の資格や免許などはありません。しかし自身の能力を客観的に示す必要がある場合には、資格や免許があれば有利に働きます。
またITコンサルタントの業務は、日々の技術革新に追従していく必要があると言えるでしょう。そのためスキルアップは欠かせない要素と言えます。
資格取得に取り組めば、自身のスキルアップができたり、フリーランスとしての独立が見えてきたり、さまざまなメリットが考えられるでしょう。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。