近年では、企業における業務改善は重要な取り組みになっています。慢性的な人手不足の中においても、売上の拡大やコストの削減などが必達目標となっているためです。
この記事では、業務改善のアイデア事例、業務効率化の判断軸や効果、検証方法などについて紹介します。
業務改善とは
業務改善とは、業務を進める上でのムリ、ムダ、ムラを省き、作業効率や生産性を向上させることです。昨今において企業では、働き方改革が推進されており、無駄な労働時間を削減したり、働きやすい環境を実現するなど、ワークライフバランスに力を注いでいます。
そのような状況の中では、業務改善への取り組みは重要事項になってきています。
業務効率化と生産性向上の違い
業務効率化と生産性向上は一見似ていますが、異なる概念を持っています。「業務効率化」は、業務を行う際の手順やプロセスにおいて、ムリ、ムダ、ムラを抽出し、それらを排除していくことで業務の効率性を高める取り組みです。業務に費やす時間やコストを抑えて効率よく業務を遂行させることを指します。
一方「生産性向上」は、広い範囲に用いられ、現在のリソースを有効活用し、最大限の成果を生み出すことを指しています。業務効率化は、生産性向上のための1つの手段という位置づけになります。
業務改善を促進するアイデア10選
ここでは、業務改善でよく用いられる基本的なアイデアについて紹介します。自社の業務に使用できるもの、使用できなさそうなものがあるので、全てを行う必要はありません。業務改善のヒントとして参考にしてください。
アウトソーシング
自社で行っている業務のうち、定型的でいつも決まった手順で実施するような作業は、外部委託先にアウトソーシングする方法です。多くのコストがかかっていたり、繁忙期などで対応する人材を確保するのが困難な場合も、アウトソーシングすることで業務効率の改善につながる可能性があります。
また、アウトソーシング先の企業が外部委託する業務の専門家である場合は、コスト削減だけでなく品質の向上も期待することができます。
業務の自動化(RPA導入)
業務の自動化が行えるRPAを導入する方法もあります。RPAとはロボティック・プロセス・オートメーションの略でパソコン上の定型業務を人間の代わりにツールが実施してくれるシステムです。
例えば、「販売店から送られてくる商品の販売データをExcelに集計する」「自動で請求書を発行して取引先にメールを送る」など、決まった内容の業務であれば、RPAで自動化することが可能となり、作業の効率化や品質の確保が期待できます。
システムの導入
社内の業務をITシステム化することも業務改善につながります。勤怠管理や各種事務手続き、営業管理など、さまざまな業務をITシステム化することが可能です。
さらにそれらのシステム間でデータの連携ができれば、今まで手作業で行っていたデータの集計などが自動で行うことができ、作業時間の短縮につながります。
ITシステム化は、システムの導入時はコストがかかりますが、長い目で見るとコストの削減につながる方法となります。
データベースの活用
データベースに社内のさまざまなデータを蓄積し、いつでも参照したり更新したりできるようにしておけば、業務改善につながります。
例えば、過去に取引のあった顧客との商談の場合、過去の情報をもとに条件を提示したり、提案をしたりすることができ、顧客の要望に沿った形で進めることが可能となります。たとえ担当者が変わった場合でも、顧客への対応基準を一定に保つことも可能です。
マニュアルの整備
暗黙の了解になっているような手順や、優秀な社員に任せきりの業務があった場合、担当者が変わったタイミングで業務効率が落ちたり、品質が低下したりする可能性があります。
どの社員でも一定のレベルで業務がこなせるように、マニュアルを整備しておくことは重要となります。
またマニュアルには業務手順だけでなく、会社のルールや働く際の心構えなども掲載しておけば、各社員の意識を一定に保ちながら会社を運営していくことも可能です。
作業量の分割
1人でこなせる作業量は限られています。作業を細かく分割することで、複数のメンバーで対応できるようにすれば、1人1人の作業効率も向上します。
また、並行作業が可能なものがあれば、時間の短縮にもつながります。
作業量を分割することで業務改善が行える場合もあります。
情報共有の徹底による手戻り防止
作業にて戻りが多いと無駄に時間やコストを費やしてしまいます。知識の共有や手順の共有などは、手戻りを防止するのに有効な方法です。
会社内やチーム内で情報を共有し、無駄な手戻り作業を防止するようにしましょう。
無駄な業務の洗い出し
現状実施している業務の中に無駄な作業が入っている場合があります。無駄な作業を省くことができれば、時間の短縮、コストの削減につながります。
一度業務の中に無駄な作業がないかどうかをチェックすることをおすすめします。
ワークフローの改善
ワークフローとは、業務の一連の流れを示します。ワークフローを改善することができれば、直接業務改善につながります。
現状の業務の流れが本当に必要なのか、短縮できるものはないのかなど、ワークフローを見直し改善していくことで、業務改善につながります。
業務のフローチャート作成
業務改善を行う場合、業務全体を客観的に可視化することで改善点を見つけやすくなります。業務全体を客観的に可視化するには、業務のフローチャートが有効です。
業務のフローチャートは、「端子」や「処理」や「分岐」などの図形を用いて業務の流れを表現していきます。まずは全体を可視化するために作成し、細かい部分は後から補う形が良いでしょう。
業務改善の進め方
ここでは、業務改善の進め方について簡単に紹介します。
現状の把握
業務改善は、自社の現状を把握するところから始まります。自社にどのような問題点や課題点があるのか、現場の社員にヒアリングするなど、関連する人たちを巻き込みながら進めることが重要です。
課題の洗い出し
現状を把握した後はその情報から課題点を明確にしていきます。問題点や課題点の本質は何なのかを見極めて、原因を特定します。ここで見極めた原因が業務改善のターゲットとなります。
スケジュールの立案
問題点や課題点の原因が特定できた後は、どのような方法で解決させるのかを決定します。また解決までのスケジュールも立てます。そして、どのような方法でいつまでに業務改善を行うのかを明確にします。
業務改善の実施
立てたスケジュールに沿って業務改善を実施します。業務改善を実施しながら状況も観察します。改善前と改善後の違いを調査し、改善策がどれくらい有効だったのかを測定します。もし、想定よりも改善効果が得られていない場合は、その原因を分析し、新たな改善策を検討する必要があります。
具体的な進め方については下記記事に載っていますので参考にしてください。
業務改善を成功に導くポイント
業務改善を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。次に示すようなポイントを意識しながら進めると成功しやすいと言えます。
ポイント1:ムダの洗い出し
現状の業務の中には、無駄な作業が含まれている場合が多くあります。する必要のない作業がまぎれていたり、複数名で同じ作業を行っている場合などは無駄な作業と言えるでしょう。
業務全体をチェックし、無駄な作業がないか、不要な作業がないかチェックすることが大切です。もしその作業を行わなかった場合でも、業務全体への影響がないのであれば、その作業は無駄な作業の可能性が高いです。
あまり深く考えずに教えられた今までの方法をこなしているだけでは、業務改善は難しいでしょう。各作業が何の目的で行われているのかを考え、無駄な作業は省いていくようにしましょう。
ポイント2:質の担保
業務改善のために無駄と思われる作業をどんどん削減していくことは大切です。しかし、作業を削減することで品質が低下してしまうのであれば、その作業は削減すべきではありません。
品質を担保しながら、無駄な作業をピックアップして削除していくという方法がリスクの少ないやり方となります。
ポイント3:フィードバックの徹底
業務改善を進めていく上では情報の共有が大切な要素です。ミスしたときの情報や改善結果が想定よりも低かった場合など、原因をメンバーで共有すべきです。メンバーで共有しておけば、チーム内で同じミスを防ぐことができるためです。
業務改善活動の精度を上げるためにも、些細なことであってもフィードバックの徹底が必要となります。
業務課題の見つけ方
業務課題の見つけ方としては、フレームワークを活用することで課題を見つけることが出来ます。フレームワークとは、共通して使える考え方や分析方法、問題解決方法などの枠組みを指します。フレームワークにはいろいろなパターンがあり、状況に応じて使い分けると良いでしょう。
業務改善はただやみくもに進めていては高い効果を得ることはできません。フレームワークを使ってムダの原因を特定し可視化することで問題点を明確にすることができます。問題点が明確になれば対策も検討しやすくなります。
また、フレームワークを活用することで、問題点や課題を抽出する方法に一定の判断軸ができ、個々による論点のずれや間違いを防ぐことも可能です。一定の判断軸で問題点が抽出されているため、それぞれの優先度の比較もしやすくなるでしょう。
業務改善の効果の検証方法
業務改善を行った場合、必ずその効果の検証が必要です。業務改善を行った結果、どれくらい改善したのか、あまり改善しなかったのかなど、検証結果によって次の対応内容が決まってきます。ここではいくつかの効果の検証方法について紹介します。
KPIツリー
業務改善を行う前に目標値を定量的な形で設定しておき、業務改善後に目標値と比べてどうなったのかを検証する方法です。
PDCA
PDCAはPlan(計画)、Do(結果)、Check(評価)、Action(改善)のことで、この4つのステップを繰り返して業務改善の精度を高めていく方法です。Planで決めた計画に対してDoの結果がどのような内容だったのかを、Checkにて評価します。評価の結果を踏まえ、次の一手をActionとして決定します。
KPT
KPTはKeep(継続すべきこと)、Problem(問題)、Try(挑戦すること)の3つの要素を基本に業務改善を進めていく方法です。業務改善を実施した後にKeepとして良かった点や継続して実施していく点を評価します。Problemでは業務改善を行った結果出てきた問題をピックアップします。Tryは実際に次に行っていくことを決定します。Keepの内容の継続とProblemの解決策が次の施策になることが多いです。
まとめ
今回の記事では、「業務改善のアイデア事例」について解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。