一般的に、ITコンサルタントは「激務で大変」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。ITコンサルタントが激務であるといわれる理由や、ITコンサルタントに向いている人の特徴など、ITコンサルタントを目指す方に向けた情報を各種データやITコンサルタントの方の体験談を交えて解説します。
目次
ITコンサルタントの業務内容
ITコンサルタントの業務内容は、IT戦略のコンサルティングです。IT戦略に関する課題の解決方法を大局的な視点から見つけ出して提案し、企業経営をサポートします。ITコンサルティングは経営コンサルタントの仕事に、課題分析はSEの仕事に近く、業務の幅が広いといった特徴があります。具体的には、IT戦略やシステムの見直しまたは導入の提案、プロジェクトの管理などを行います。ITコンサルタントの大まかな業務の流れは、以下のとおりです。
- ヒアリングを行い、ITに関する企業課題を洗い出す
- 課題解決のための提案を行う
- 採用されたプロジェクトを統括して管理する
ITコンサルタントが激務になりやすい理由
ITコンサルタントは、IT分野の中でも賃金水準が高くなっています。一方で残業時間が多いなど、激務だというイメージも強いようです。ITコンサルタントが激務になりやすい理由は、コンサルタント側の経験不足によるものもありますが、顧客側の問題で激務となるケースもあります。ここでは、ITコンサルタントが激務になりやすい主な理由を3つ紹介します。
作業量が多く残業時間が長い
ITコンサルタントは残業時間が長い職種です。ビジネスコンサルタントの残業時間は1か月約40時間と言われており、平均残業時間が最も多い職種に挙げられていました。
ITコンサルタントは業務の内容上、時間を要する顧客との打ち合わせやプロジェクトチームとの打ち合わせなどを含め、作業量が多いといわれています。作業量が多いことで残業時間が長くなるという流れです。ただし、残業しなければならないほど作業量が多くなる理由は、問題の原因を見つけ出す精度が低いことや、顧客の問題解決に導くための結論を洗い出す方法に無駄が多いことが関係しているという指摘があります。これは、どちらも経験が浅いことが主な原因です。
クライアント優先のスケジュール調整
ITコンサルタントは、顧客の要望に応える仕事であるともいえます。そのため、クライアント側の原因で激務になることもあります。顧客の悩みや問題の原因を突き止めるためには、顧客とのコミュニケーションや信頼関係の構築が欠かせません。スケジュールの調節は顧客優先となるため、柔軟な対応が求められ、スケジュールが変更になることもあります。
また、ITコンサルティング業務に関係する各部署の要件を調節して反映させる体制が整っていない場合、ITコンサルタントが提出した報告書の修正要求が方々から出されます。部署間の調整が行われていないため、利害関係の相反によって修正内容が矛盾している可能性もあります。また、部署間を調整する体制が整っていても、キーパーソンの一声で内容が変更されることもあります。このような場合、報告書の修正に時間がかかり、結果として労働時間が長くなります。
常に最適な回答を探す必要がある
ITコンサルタントは経営に関わる業務であり、常に最適な回答を求められます。そのためには、顧客との関係性の構築や知識の豊富さ、ITコンサルタントとしての経験値の高さが必要となり、仕事量が膨大になります。さらにIT技術や企業の進化や変化に対応するため、身に付けた知識や技術を常に更新しなければならず、勉強量も多くなります。
加えて、顧客がITコンサルタントに依頼する際には、工数と期間、経験で金額が変動します。プロジェクトの規模にもよりますが、月100万円程度支払うこともあるでしょう。ITコンサルタントに支払われる費用は高額であるため、顧客からの期待も大きく、プレッシャーを受けやすいといわれています。顧客からの質問に答えられないといった事態を防ぐため、常にITに関する最新の知識を身に付けておく必要があります。経験が浅く知識が不足している場合、知識を身に付けることに時間がかかり激務に繋がります。
激務になりやすい人の特徴
前述のとおり、ITコンサルタントは激務になりやすい職種です。ただし、激務となる理由が避けられない原因(作業量の多さなど)だけではない場合があります。ここからは、激務になりやすい人の特徴を3つ紹介します。
一人で抱えている
ITコンサルタントには作業スピードが求められます。ひとりで抱え込むITコンサルタントは激務になりがちです。タスクの優先順位をつけ、必要であればタスクを巻き取ってもらうようにしなければ、仕事量が膨大になり激務になってしまいます。優先順位をもとに適宜タスクを手伝ってもらい、作業速度を上げる必要があります。特に経験が浅いうちは、作業速度を上げるためのコツを学んで取り入れていく姿勢も求められます。周囲からの協力が得られるように、人間関係を築く力も求められるといえます。
知識不足
ITコンサルタントには、ITだけでなく経営に関する知識も必要です。問題解決のためにはシステム開発全般の知識が求められます。さらに、顧客の業種によって求められる知識は異なり、ITコンサルタントの基礎力をつけた後も、継続して知識を身につけていくことが必要です。そのため業界未経験からITコンサルタントになることはまれで、多くの場合SEやプロジェクトマネージャーなどからのキャリアアップで就任します。
顧客との信頼関係が構築できていない
ITコンサルタントは知識や問題解決能力だけでなく、良好な人間関係を構築し、維持するコミュニケーション力も必要です。顧客へのヒアリングや提案という一側面においても、コミュニケーション力が求められます。信頼関係を構築するためには、情報のやり取りだけでは不十分であり、相手の立場や思いを熟慮する力なども求められます。
ITコンサルタントを辞めたくなる瞬間
ITコンサルタントは年収が高く人気のある職種ですが、それでもITコンサルタントを辞めたくなる瞬間を3つ紹介します。
システムトラブル
1つ目は、システムトラブルの発生によって対応に追われているときです。構築したシステムがバグなどによって正常に動かなかった場合、顧客への謝罪や社内報告、プロジェクトメンバーへの対応に追われることとなります。
提案した企画が失注した時
2つ目は、提案したプロジェクトが失注したときです。調査や分析、提案書の作成には1か月程度かかるといわれています。プロジェクトは競争入札にかけられることが多いため、失注した場合はプロジェクトの提案に要した時間や労力に見合う利益が得られません。受注となった場合でも、見積もっただけの利益が得られないこともあり、このようなケースの対処に追われるのはITコンサルタントです。
プロジェクトメンバーの離反で納期に間に合わなかった時
3つ目は、プロジェクトメンバーの離反によって納期に間に合わなくなったときです。業務に着手している段階でプロジェクトメンバーが離反することがあります。原因は、スケジュールが厳しいことや変更が多いことによる不満の爆発、過労による健康状態の悪化などがあります。
ITコンサルタントの魅力
ITコンサルタントの魅力は、高年収と高成長だといえます。
高年収
職業情報提供サイトによると、ITコンサルタントの全国平均収入は733.6万円で、日本の平均年収よりも高くなっています。年収1,000万円を超えることもあり、仕事量に見合った報酬が期待できます。年齢別で年収を比較すると20代で平均500万円、30代で平均732万円となっています。
(参考:令和3年分 民間給与実態統計調査)
高成長
ITコンサルタントは経営やITに関する勉強を常に行っています。ITに関する知識を深め、社会情勢や経済状況など、時代の流れにも敏感である必要があります。さらに、クライアント企業の経営状況や事業内容、会社の方針なども把握しておくことが求められます。知識や能力を磨き、常に成長できます。
ITコンサルタントに向いている人の特徴
ITコンサルタントは誰かの役に立つことにやりがいを感じ、課題の解決によって達成感を得られる人に向いているといわれています。ここでは、ITコンサルタントに特に必要とされる3つの能力を紹介します。なお、以下の能力に加えて体力や精神力も必要不可欠です。
IT関連の知識がある
ITコンサルタントには、最新のIT関連の知識が求められます。プログラミングや開発など、業務上必要とされる基礎的な知識が既に身に付いている状態であることが望ましいといえます。加えて、ITに関する最新の情報を積極的に吸収する姿勢も求められます。
ロジカルシンキングができる
ITコンサルタントには、ロジカルシンキング(論理的思考力)が必要です。顧客から提示された情報や課題を分析して洗い出し、解決方法を検討するためには、論理的な思考と判断力が欠かせません。こうして見つけ出した解決策を顧客に納得してもらえるよう、論理的に説明する力も求められます。
コミュニケーション・提案能力が高い
ITコンサルタントは経営陣やプロジェクトメンバーなど、多くの人とコミュニケーションをとりながら課題を論理的に解決していきます。クライアントが抱えている問題点や要望を聞きだすヒアリングや、ヒアリングの結果をもとにした解決策の提案、プロジェクトメンバーへの説明など、人とコミュニケーションをとることが多い業務のため、コミュニケーション力や提案力が必要不可欠です。論理的に正しいだけでなく、状況への対応力や、相手の立場や気持ちなど心理面を配慮できる力がなくてはいけません。
また、外資系企業の場合、英語などの語学力も求められます。さらに外資系企業以外でも、業務上英語力が必要となるケースが増加しています。
ITコンサルタントとして働く上で後悔しないためのポイント
ITコンサルタントとして働くうえで後悔しないための最大のポイントは、労働環境が悪い企業を選ばないことです。就職した後で労働環境が悪い企業だったとわかった場合、転職も視野に入れておくと良いでしょう。ITコンサルタントの業務内容や、ITコンサルタントに求められることが何かを理解しておくこともポイントだといえます。
まとめ
今回の記事ではITコンサルは激務なのかについて解説しました。DX案件を探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。