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プロジェクト進捗管理の見える化の有効性・重要性
プロジェクト管理は、アメリカの非営利団体「PMI」が「PMBOK」として国際的なプロジェクト管理標準を作っているほど、ビジネスにおいて重要な知識・スキル分野です。
コンサルティングファームにおいて、プロジェクト管理のケイパビリティーが要求されないプロジェクトは存在しないといっても過言ではないでしょう。実際に「PMI」が認定するプロジェクト管理の国際資格「PMP」を保持されているコンサルタントの方も非常に多いです。
「PMBOK」では品質・費用・納期(「QCD」とも言われる、以下QCD)を管理するために、5つのプロセスが定義されています。
- 立ち上げプロセス
- 計画プロセス
- 実行プロセス
- 監視・コントロールプロセス・終結プロセス
このなかの「監視・コントロールプロセス」において「計画プロセス」で作られた計画と実際の作業進捗に差異がないかどうか確認する重要性が述べられています。
つまり、国際的にもプロジェクト管理において進捗管理が重要である、ということです。進捗管理をするためには当然、進捗の把握が必要になりますので、そのための方法としての「見える化」も重要、ということになります。
プロジェクト進捗管理の可視化によるメリット
進捗の遅れを防ぐ
プロジェクトは計画された通りに実行していくことで、QCDを保ったままクライアントにデリバリーすることができます。逆に当初の計画からずれていくとQCDは低下し、クライアントの満足度も当然低下してしまうでしょう。
進捗の遅れを防ぐためには、プロジェクトの進捗を常に把握し、優先順位をつけて動くことが重要です。そのためには、プロジェクトの進捗について、プロジェクトメンバー全員が把握できる「見える化」が当然必要になります。
リソースの最適配置ができる
QCDを保ってプロジェクトをデリバリーするためには、リソースの最適配置が欠かせません。最適な人員を最適な数、最適なロールでアサインし、進捗通りにプロジェクトが進行することではじめて、計画通りのQCDを達成できます。進捗の遅れが発生してしまっては、QCDも下がってしまうでしょう。
進捗管理を見える化すれば、一部の進捗が早い場合にはメンバーをより遅い部分に再配置してプロジェクト進行のスピードアップを図れますし、逆に遅い部分がある場合には、メンバーの増員を考えることもできます。
トラブル防止
進捗が遅れている場合、計画していたこと、予期していた前提条件などとのズレが発生している、ということになります。前提条件とのズレがあるということは、何らかのトラブルが発生している可能性も意味します。
例えば、よくあるのが人間関係のトラブルです。プロジェクトメンバー同士で不仲があったりすると、プロジェクトに遅延が発生することは多々あります。進捗の遅れが発生したときに、早めにこのようなリスクに気づければ、大きなトラブルが発生する前に先手を打てます。
業務効率・生産性を改善できる
進捗管理を見える化できれば、プロジェクトにアサインされている各チームの業務のやり方・進捗を比較できます。もし、著しく業務の進行が早いチームがあれば、そのチームのやり方に合わせることで業務効率を高められます。逆も然りで、進捗が遅いチームがあれば、業務の標準化によって遅れ具合を軽減させることもできるでしょう。
品質を担保できる
進捗管理を見える化することで、進捗について常にメンバーに意識させ、進行を早める効果が期待できます。プロジェクトの進行に余裕ができるほど、成果物のクオリティについても担保されることは必然です。
また、見える化するということは、すなわち業務を標準化するということとニアリーイコールです。業務標準化もクオリティの担保につながります。
課題をエスカレーションしやすくなる
プロジェクトの進捗管理を見える化することで、業務の課題が浮き彫りになります。見える化をすることにより、プロジェクトリーダーだけではなく、すべてのプロジェクトメンバーに対して全体の進捗がオープンになります。
そのため、多くのメンバーが気づいていないような進捗上の課題や、進捗の遅れの裏にある課題などについて、メンバーたちから自発的にエスカレーションもできるようになります。結果として、全体の進捗管理もしやすくなるでしょう。
クライアントへの報告がしやすくなる
コンサルタントの場合、プロジェクトの進捗管理をするのは、プロジェクトを成功させるためだけではありません。プロジェクト管理の最中であっても、都度、クライアントに対して進捗を報告することも求められています。
プロジェクトの進捗が見える化されているようであれば、クライアントに対して逐一プロジェクトの進捗についてレポートを作成する必要がなくなります。結果、プロジェクト管理によりリソースを割いて、集中できるようにもなるでしょう。
プロジェクト進捗管理を見える化するポイント
プロジェクト管理において、進捗管理の見える化をする際の極意・ポイントをご紹介します。
見える化についての意識徹底
プロジェクトの進捗管理は、プロジェクトリーダーだけでできるものではありません。現場から数字や課題をきちんと吸い上げ続けられなければ、進捗管理もできません。そのため、プロジェクトの進捗にまつわる数字や、進捗管理に関わりそうな定性的な情報をすべて報告してもらうように意識づける必要があります。
エクセルでもいいのでツール利用は必須
プロジェクトの進捗を見える化するためには、言わずもがなですが、ツール利用は必須です。アナログな管理をしていると、プロジェクトの課題を正確かつリアルタイムに把握できないため、進捗管理も疎かになっていきます。
日次・週次MTGで報告・共有する
プロジェクトメンバーは、プロジェクトの進捗管理に関わる報告業務などをどうしても「面倒なもの」と感じやすいです。とくにコンサルタントではなく、事業会社のメンバーのなかには、そのような意識でプロジェクトに参画しているメンバーもいるでしょう。
管理すべき項目を押さえる
プロジェクト管理において、押さえなければならないポイントはたくさんあります。とくに以下のポイントについて、常に把握しておかなければなりません。
- タスク
- コスト
- スケジュール
- 品質
- コミュニケーション
- リソース
上記の項目はプロジェクトの進捗とともに変わっていくものでもあります。常に変化を把握しておかなければ、プロジェクトの計画通りのデリバリーもあり得ません。進捗管理を見える化することで、変化を認識し続けておくことが重要です。
プロジェクト進捗管理に良く使われるツール
プロジェクト進捗管理の見える化のためには、プロジェクト管理ツールの導入が必須です。本項では、プロジェクト管理に良く使われるツールをご紹介します。
エクセル・スプレッドシート
小規模なプロジェクトで、なおかつクライアントサイドのメンバーの関わる人数が少ないのであれば、エクセルやスプレッドシートだけで管理するのも手段のうちです。
プロジェクト管理のためにエクセルやスプレッドシートを使う場合には、ガントチャートなどの図表を都度作成して、プロジェクトの進捗をわかりやすく見える化する努力が求められます。
(参考:Google Sheets)
Asana
Asanaは、小さなTo-Doの管理から、チーム全体のタスク管理まで、プロジェクト全体をあらゆるレイヤーで管理するのに便利なプロジェクト管理ツールです。
必要なタスクを一覧化できる「リストビュー」機能では、タスクの優先度や進捗度合い、仕事の期日などが一覧できますので、ほかのメンバーの進捗についてもチームメンバー全員で把握できます。また、タイムライン機能でスケジュールの流れを視覚化できるので、直感的に優先度が高いタスクがわかります。ボード機能で、各タスクの詳細についても記載可能です。
Microsoft TeamsやSlack、Salesforceなど、200を超える外部サービスとの連携も容易です。
(参考:asana)
Backlog
Backlogは、ソフトウェア開発会社や広告代理店、メディア制作会社などで使われているプロジェクト管理ツールです。シンプルで直感的に理解できるUXになっているので、システムに詳しくないメンバーでも使いやすい点が魅力です。
Backlogの「ガントチャート」機能は、各タスクごと・担当者ごとのガントチャートを容易に作れます。また、長期単位のマイルストーンについても併記できるので、小規模〜大規模まであらゆるタスクレベルの進捗管理がオープンになります。
タスクごとの詳細や優先度については、タスク管理機能でそれぞれ管理可能です。バージョン管理もSVNやGitを使って管理できます。チームコラボレーション機能を使えば課題も即時に共有可能です。
(参考:Backlog)
Trello
Trelloは、それぞれのタスクを「カード」という形に落とし込み、一覧化することができるプロジェクト管理ツールです。「カード」を進捗のたびに移動することで、進捗を容易に報告・把握することが可能です。「カード」には、タスクの詳細や期限などが記載でき、リンクを使ってシェアすることも容易です。
全体のプロジェクトの進行度合いについては、「タイムラインビュー」機能を利用すれば、プロジェクト計画を立てるのもスムーズです。「カレンダー」機能で時間管理もシンプルに行えます。自動化機能「Butler」を利用すれば、単純作業を削減できます。
SlackやDropbox、Google Driveなどの外部ソフトとの連携も容易です。
(参考:Trello)
jooto
jootoは、付箋のような直感的でわかりやすい「カンバン」単位でタスク管理ができるプロジェクト管理ツールです。基本的な操作はドラッグ&ドロップでほぼ完結できるので、システムに疎い方でも利用しやすいでしょう。
タスクの優先度や担当者の確認も容易で、部署横断してほかのチームの進捗度合いも確認できます。
状況や担当者に応じてリストを作成し、それぞれのチームメンバーごとのタスクが一覧化されますので、タスク管理が容易になります。また、ガントチャートはタスクの期日を設定すれば自動的に作成されるので、ガントチャートをわざわざ作成する手間も省けます。
(参考:jooto)
Jira Software
Jira Softwareはソフトウェア開発に最適化されたプロジェクト管理ツールなので、システム開発も含めたDXプロジェクトを推進する場合におすすめのプロジェクト管理ツールです。
「カンバンボード」によって、優先度の高いタスクがメンバー全員に一目瞭然になります。また、「ロードマップ」と呼ばれるガントチャート機能によって、タスクだけではなく、全体としてのスケジュール進捗の把握も簡単です。
「アジャイルレポート」では各タスクごとの進捗などが12種類の図表によって直感的に理解できます。
(参考:Jira Software)
Redmine
Redmineは、「チケット」と呼ばれるタスク管理機能によって、タスク管理やスケジュール管理が容易にできるプロジェクト管理ツールです。無料で利用することもできます。
「チケット」をそれぞれ登録するだけで、「チケット」を一覧化したり、ガントチャートやカレンダーに登録できます。いちいちタスクをガントチャートやカレンダーなどに起こす必要はありません。
手順書など、作業の標準化についても「Wiki」機能を使って簡単にできます。「リポジトリ」機能でのバージョン管理、「ニュース」機能でとくに重要性の高い課題の共有なども可能です。
(参考:Redmine)
まとめ
今回の記事では、プロジェクト管理の見える化のコツと進捗管理ツールについて解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。