フリーランス(キャリア)

フリーランスの経費について。経費にできるものとできないもの、節税対策をまとめて解説

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はじめに

フリーランスが節税するためには、何を経費として計上するか、いくら経費に計上するかが重要です。控除も当然漏らさない必要がありますが、控除は項目も金額もある程度決まっているため、裁量の余地は少ないです。

裁量の余地があり、やり方によって節税効果が大幅に変わってくるのは経費ということです。項目を漏らさず、また金額も上限まで経費にすることで節税になります。しかし、本来経費にできないものまで経費にしたり、税法や相場を無視した金額を経費にすると脱税になってしまいます。

本記事では、フリーランスが脱税にならずに節税をするために、経費にできるものや経費として計上する金額を上げる方法を解説します。

個人事業主とフリーランスの違いは?


個人事業主とフリーランスは、一般的に同じものを指している場合が多いでしょう。個人事業主と呼ばれる人はフリーランスでもあり、フリーランスと呼ばれる人は個人事業主でもあるということです。

しかし、定義上の違いはあります。まず個人事業主は税法上の区分です。税務署に個人事業の開業届を提出すると、個人事業主になります。一方で、フリーランスは働き方です。法律上フリーランスという区分があるわけではなく、会社員に属さず個人で仕事を請け負う人を慣習上フリーランスと呼んでいる状況です。

上記の通り個人事業主とフリーランスは世間的には同一で扱われているので区分する必要はないかもしれませんが、税金の観点では個人事業主として考えるのが正解ということです。

個人事業主にとってなぜ経費が重要なのか?

個人事業主が節税を考える際、試行錯誤をすることで節税効果が変わってくるのは経費です。もちろん控除や売上発生のタイミングを節税の観点から考えることなども必要ですが、これらはある程度基本を押さえたら操作するのは困難です。

たとえば保険料の控除計算を独自に考えたり、控除対象でないものを控除に含めると節税ではなく脱税になります。同様に、売上の発生月を意図的に操作すれば脱税になる可能性が高いでしょう。

一方で、経費は捉え方によって大幅に変わってくる余地があります。法律上曖昧な部分も多いので、税務署の担当者によっても判断が変わってきます。以前までは経費で通っていたが、税務署の担当者が変わったため経費として通らなくなった、といった話もあるくらいです。

どこまでが経費になるかの線引きはあるものの、個別具体的に考える必要があり、結果的に経費計上を多くできる余地があるのです。

フリーランスが経費にできるもの

フリーランスが経費にできるものは多岐にわたります。フリーランスの中でも職種によって必要なものが異なり、そして仕事に必要なものであれば概ね経費にできるからです。そのためここですべての経費を挙げることは不可能なのですが、代表的な経費になるものと、勘定科目を把握しておくと個別に判断しやすくなります。

これらを把握しておけば、類似するかどうか、勘定科目に該当するかどうかによって個々に経費になるかどうかを判断できるからです。代表的な経費と勘定科目は以下です。

勘定科目代表的な経費
消耗品費文房具、印鑑、封筒、帳簿、用紙、キーボード、マウス、机、いす
接待交際費顧客との会食費用、お中元、接待費用
旅費交通費電車代、タクシー代、バス代、ホテルの宿泊代
研究開発費原材料費、設備費
通信費電話料金、インターネット料金、切手代、業務用のスマホ料金
広告宣伝費パンフレット費用、チラシ費用、雑誌掲載費用、オンライン広告費用
地代家賃家賃、管理費、共益費
減価償却費建物、自動車、パソコン、備品、工具などの減価償却で計上した費用
修繕費建物、車両、器具などの修繕にかかった費用
支払手数料銀行の振込手数料、代引き手数料、証明書の発行費用
租税公課登録免許税、印紙税、固定資産税、不動産取得税、自動車税

勘定科目は一般的に上記のようなものが使用されますが、法的に決まっているわけではありません。ただしわかりにくい勘定科目を使ってしまうと税務署から指摘される可能性も高まるので、一般的な勘定科目で経費計上した方が良いでしょう。

また消耗品費の範囲や、減価償却費などは法的なルールを把握しておく必要があります。こちらについては後述します。上記を把握しておけば、勘定科目や経費にできるかどうかに困ることは少ないはずですが、わかりにくいものも出てくるかもしれません。

そういった場合は、個別で調べれば情報が見つかる可能性が高いです。経費にできるかどうか迷ったものや勘定科目に迷ったらネット検索で調べると多くの場合は出てきます。

節税対策

経費にできるものは経費にする、その際にどのような勘定科目を使用するか、といったことを解説しました。以上を踏まえて、具体的にどうすれば節税になるのか解説していきます。

経費や控除の見直し

まずは基本的なことですが、現状かかっている費用の中で経費にできるもの、控除にできるものを洗い出していく作業が必要です。まだ事業を始めていない場合や始まって間もない場合は、これからかかる費用を事前に洗い出しておきます。

早めに経費にできるものと控除にできるものを把握しておくことで確定申告が楽になり、また証明書類がないので経費や控除できない、といったことを防げます。ちなみに、経費にするものの領収書を税務署に提出する必要はありません。

領収書は税務署に提出せずに、保存しておけば問題ありません。保存期間は、青色申告の場合は原則7年、白色申告の場合は原則5年です。また原本は廃棄し、電子データで保存しても問題ありません。

基本的に税務署が領収書を確認することはないのですが、税務調査に入られた場合は領収書の提示を求められる可能性が高いでしょう。そのため、万が一の税務調査に備えて領収書を保管しておくということです。

青色申告をする

個人事業主は、白色申告と青色申告を選択できます。一言で言えば、白色申告は簡易的な確定申告、青色申告はよりきっちりとした確定申告です。白色申告は簡易的なので特に帳簿の付け方が簡単に済むのですが、青色申告に比べると控除が受けられない、基本的に損失を繰り越せない、一部経費にできない、といったデメリットがあります。

逆に言えば、青色申告をすることで、経費、控除、損失繰越、などの面で節税につながるということです。中でも大きなメリットは、青色申告特別控除です。青色申告特別控除とは、最大65万円の控除を受けられる制度のことです。

後述する減価償却の特例の利用や、赤字の繰り越し、家族の給与を経費にする、といったことを行う予定がなくても青色申告特別控除だけで青色申告を行うメリットは大きいでしょう。

ちなみに、赤字の繰り越しとは赤字を3年間繰り越せる仕組みです。翌年以降の黒字を赤字で相殺することで所得金額から控除され、所得税が安く済みます。また赤字が続いた場合、前年度の所得金額に繰り戻して所得税の還付を受けることも可能です。

減価償却の特例を活用する

減価償却の特例とは、30万未満の固定資産であれば一括で全額経費計上できるという特例です。白色申告の場合、10万円以上の固定資産は使用期間に応じて減価償却する必要があります。減価償却とは、耐用年数に応じて毎年資産を経費計上して資産価値を減らしていくことです。

減価償却の特例によって一括で全額経費計上できるということは、資産の購入額全額を所得から引けるということです。毎年減価償却を行うよりも、その年度の節税効果があります。

また白色申告か青色申告かに関わらず、消耗品として計上できるのは10万円未満、10万円以上は固定資産と決まっています。上記の内容と合わせると、白色申告の場合10万円以上になると固定資産として減価償却する必要があるということです。

耐用年数はものによって異なりますが、例えばパソコンの場合は4年なので、10万円以上のパソコンは4年で資産額が0円になるように減価償却していくということです。一方で、青色申告の場合も10万円以上のものであれば消耗品ではなく固定資産として計上することは同じです。

しかし青色申告の場合30万円未満であれば固定資産を一括で経費にできるので、実質消耗品と変わりません。白色申告の場合は4年で償却するパソコンを青色申告ならすべて購入年度の経費にできるということです。

青色申告の場合も10万円以上のものは消耗品としては処理できませんが、固定資産でありながら消耗品のように扱えます。

短期前払費用の特例を活用する

短期前払費用の特例とは、費用発生から1年以内にサービスの提供を受けるのであれば、費用が発生したタイミングで費用計上できるという仕組みです。前払費用は先に払っている費用なので、本来は売掛金などと同じ資産に該当します。

まだサービスの提供を受けていないため、対応する資産の増加がないからです。しかし、1年以内という短期であれば、いったん資産として計上する手間を省いて費用で計上できるということです。

短期前払費用の特例を活用するために、特別な手続きなどは不要です。そのまま費用として計上すれば良いだけです。すぐに費用として計上することで、その年度の経費になるので節税につながります。

ただしサービス提供が1年以内という条件があるので、サービス提供までが1年を超えるものを費用計上すると脱税になります。税務署に指摘される可能性があるので、条件を把握しておく必要があります。

法人化した方がお得?

個人事業主の節税対策として、法人化という選択肢もあります。法人化と言っても従業員を雇ったり事業内容を変えるというわけではなく、今まで通りと同じ事業内容で税務上のみ個人事業主ではなく法人にするということです。

いわゆる一人法人ですが、節税対策として有効な場合があります。逆に言えば、個人事業主のままの方が納税額が少なく済む場合もあります。細かい比較検討は後述する方法で行うのが良いですが、ざっくりと概ね事業所得が700万円以上になれば法人化した方が節税になることが多いです。

まず個人事業主と法人が支払う税金には以下のような違いがあります。

 個人事業主法人
国税所得税、消費税、特別復興所得税法人税、消費税、法人特別所得税
地方税個人住民税、個人事業税、地方消費税法人住民税、法人事業税、地方消費税

中でも特に影響が大きいのは、所得税と法人税の違いです。所得税が累進課税なのに対し、法人税は税率の変化が少ないからです。具体的には、それぞれ以下のようになっています。

【所得税率】

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

【法人税率】

資本金所得金額税率
1億円以下800万円以下15%
800万円超23.2%
1億円超23.3%
資本金に関係なく赤字の場合0%

以上のように、法人税率は幅が狭いのに対し、所得税は累進課税で所得が大きいほど税率が上がっていく仕組みです。結果的に、所得が大きくなると法人税の方が割安になるということです。逆に所得が低い場合は所得税の方が割安になります。

厳密に計算する場合は他の税金も計算して比較する必要がありますが、大きな違いは所得税と法人税の税率の違いで、結果的に事業所得700万円程度が分岐点になることが多いということです。

厳密に計算するのは面倒だが節税の観点を考慮したいという場合、事業所得700万円を超えているかどうかを法人化するかどうかの基準とすることができます。実際このような基準で法人化するかどうかを判断するケースは多いでしょう。

まとめ

フリーランスの節税方法は複数あります。まずは基本的な経費と控除を押さえること、青色申告を選択すること、減価償却の特例を活用すること、短期前払い費用の特例を活用することなどが重要です。

特に経費はグレーゾーンの部分も多く、見方によっては経費にできたり、今よりも経費計上額を多くしても問題なかったりといったことがあります。やりすぎると脱税になってしまいますが、きちんと税務署が納得できる根拠があったり、他の人の情報などを調べて前例があれば通る可能性も高いでしょう。

所得額が700万円程度を超えてくると、法人化した方が税金が安く済む可能性が高いです。細かく比較したい方は各税金、経費などを洗い出して比較すると良いですが、所得税と法人税のみの比較や、700万円という数字だけで判断するケースも多いでしょう。

特に今後事業所得が伸びていく想定ならいずれ法人化した方が節税になります。現状の事業所得と同時に、今後の事業所得のことも考えておくと法人化の判断基準になるはずです。

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