ITが普及している現代において、ITコンサルタントの需要は益々上がっています。そのため、年収も高いイメージがあり、転職を検討している方も多いのではないでしょうか。ここではITコンサルタントの平均年収や仕事内容を紹介します。
目次
ITコンサルタントの平均年収
ITコンサルタントの平均年収を紹介します。
会社員ITコンサルタントの年代別平均年収
まずは会社員の場合の平均年収です。全体の平均年収は610万円となっており、国税庁が公表している平均給与443万円に比べてかなり高いことがわかります。給与が高いということは求められる能力も高い一方、それなりに需要があることの表れと言えるでしょう。
また、年代別に確認すると平均給与は以下のようになります。働き盛りの40代では平均年収800万円を超え、50代では1000万円に近い水準となります。このことからも全ての年代で平均年収を大きく上回っていることがわかります。
年代 | 平均年収(万円) |
20~29 | 512 |
30~39 | 668 |
40~49 | 848 |
50~59 | 956 |
60~65 | 648 |
(参考:令和3年分 民間給与実態統計調査)
フリーランスITコンサルタントの報酬
続いてフリーランスのITコンサルタントの報酬です。ITコンサルタントには様々な案件がありますが、平均単価は80万/月、年収960万円程度が相場となります。このことから会社員よりもフリーランスの方が多く稼げる可能性がある業界と言えます。
また、フリーランスでは最高単価は140万/月程度ということもあり、自ら経験を積んで、スキルや知識を身に着けることにより、年収1000万〜1500万円も目指すことができる業界になっています。
業務別ITコンサルタントの平均年収
ITコンサルタントといっても様々なコンサルタントがいます。ここでは代表的な例としてSAPコンサルタント、CRMコンサルタント、ERPコンサルタントの平均年収について解説します。
SAPコンサルタント
SAPに関連する仕事の平均給与は約600万円です。SAPは日本で主流となっているERPパッケージの1つであり、多くの大企業で導入されています。そのため、SAPコンサルタントとなると大企業の担当者とつながりが持てるなど多くのメリットがあります。SAPコンサルタントになるにはプログラミング言語であるABAPの理解、SAPのモジュールの理解、業務プロセスの理解などが必要となります。
CRMコンサルタント
CRMコンサルタントの平均給与は約650万円です。ITコンサルタント全体の平均年収よりもやや高い年収と言えるでしょう。
CRMとは顧客管理システムと呼ばれ、名刺管理や人脈管理、商品情報管理を行うシステムです。現在では多くのパッケージソフトが存在するため、一般的な業務フローの理解やパッケージソフトの知識が求められる職種です。
ERPコンサルタント
ERPコンサルタントの平均給与は約600万円です。ITコンサルタント全体の平均年収よりも若干低いと言えるでしょう。
ERPコンサルタントとはベンダーが開発したERPパッケージソフトに精通したコンサルタントのことです。SAPコンサルタントも実はERPコンサルタントの1つです。SAP以外ですとOracle ERPなどが存在しています。
ERPは企業資源計画と呼ばれ、企業の人、モノ、金、情報といった様々な情報を効率的に管理することを目標に企業の主要な業務プロセスを1つのシステムに統合したものを指します。そのため、業務プロセスの理解なども求められます。
ITコンサルタントの年収が高い理由
ITコンサルタントの年収が高い理由は大きく2つあります。
成長している業界である
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社によると国内ITサービス市場は2021〜2026年の間年平均2.8%成長していくと考えられており、堅調であることがわかります。このように成長している業界では供給を増やすために人的資本すなわち給与の上昇に力を入れる傾向にあります。そのため、今後もITコンサルタントの平均年収はゆっくりと上昇していくと考えられます。
専門的な知識や論理的思考力等一定の能力を求められる
ITコンサルタントは専門のパッケージソフトの知識や業務プロセス等数多くの知識を求められます。また、これらの知識に合わせてクライアント独自の業務プロセス、専門用語などもあり、それらを速やかにキャッチアップすることも求められます。また、ITコンサルタントの目的はクライアントの課題を解決することです。課題解決のために論理的思考力を用いて、できることを網羅的に検討しなければなりません。以上のように幅広い知識や能力を求められるため、給与が高くなる傾向にあります。
ITコンサルタントの仕事内容
ここではITコンサルタントの仕事内容を5つに分けて紹介します。なお、今回は上流工程の作業をもとに紹介しますが、現在ではITコンサルタントとSIerの区分もあいまいとなっており、ITコンサルタントが要件定義〜設計・開発〜テスト・教育まで兼ねるケースも多くあります。
クライアントの課題をヒアリング
まずはクライアントの課題をヒアリングするところから始まります。クライアントに営業を行い、現在抱えている課題をヒアリングします。課題の内容としては現在古いシステムを利用していて複雑性が増して、拡張性が下がってしまったため、新しいシステムを導入するとともに業務プロセスの再整理を行い、人員配置の最適化を目指したいなどがあげられます。
分析やツールの選定
クライアントから課題をヒアリングしたら、クライアント企業のIT戦略の現状等を加味してどのようなソリューションが最適か検討を行います。場合によっては導入するツールの選定や導入するまでのプロセスの検討を行います。CRMやSFA、ERPを導入する際には何をいつまでに導入するか、導入は段階的に行うのか、一括で入れ替えるのか、クライアントへの負荷や実現性を考慮してプランニングを行います。
企画書の提案
メインツールの選定や導入までのプランニングなどを行ったら、企画書を作成し、クライアントに提案を行います。企画書には現状の分析結果、課題抽出結果、どのようなプランで課題解決を行うのか、全体的な目標スケジュール、利用するソリューション、概算見積等を含めて提案を行います。また、大手企業の場合にはRFP等を依頼され、コンペティション形式で契約を行う会社を選定したりします。
プロジェクトの発足
企画書が通り、無事契約まで進んだら、プロジェクトの発足を行います。プロジェクトメンバーは自社の子会社や関連会社から選定する企業もあるでしょうし、自社内でITエンジニアを選定する企業もあります。どちらの場合でもメンバーのスキルや長所を活かして最適な人員配置を目指します。また、プロジェクト発足後は要件定義、設計・開発と進んで行くことになりますが、いつどのような人が必要なのか事前にリソースプランを作成します。
ソリューションの提示
プロジェクトが発足したら、要件定義を行い、具体的な解決策を検討していきます。メインツール以外に関しては決まっていない場合もありますので、その場合には改めてソリューション選定を行い、使用するソリューションを決めていきます。特にこのフェーズでは自社メンバーだけでなく、クライアントの業務担当者とも交流することがありますので、経営部門やIT戦略部門が考えている課題と実際の現場が感じている課題のギャップを見過ごすことがないように注意してヒアリングを行います。
ITコンサルタントで高収入を目指す方法
ここではITコンサルタントで高収入を目指す方法を2つ紹介します。
最先端分野に関わるコンサルタントを目指す
1つ目は最先端分野に関わるコンサルタントを目指すことです。最先端分野のコンサルタントは需要があるものの、そのスキルを身に着けているコンサルタントが少ないため、年収がより高くなる傾向にあります。現在ではDXやビッグデータ、AIあたりのコンサルタントが該当するでしょう。これらの業種のスキルを身に着けるのは難易度が高いですが、身に着けてコンサルタントになることができたらより高年収を目指すことができます。
マネージャー以上の役職を目指す
2つ目は管理職を目指すことです。ITコンサルタントでも役職があります。係長クラスのポジションであれば850万円ほど、課長職では1150万円ほどの平均年収になります。そのため、マネジメント層になると大きく給料が上がる可能性があります。ただし、マネジメント層となると責任も求められるため、忙しくなることは頭に入れておきましょう。
ITコンサルタントに関するQ&A
ここではITコンサルタントに関するよくあるQ&Aを4つ紹介します。
ITコンサルタントに必要なスキルとは?
ITコンサルタントに必要なスキルは社会人に必須なビジネススキルを除くと以下のようなスキルがあげられます。
- IT技術に関する知見
ITコンサルタントは多角的に見て、最適なソリューションを提案しなければなりません。そのため、IT技術に関して幅広い知識を持っていることが重要です。
- 業務プロセスにおける知見
業務プロセスにおける知見も重要です。クライアントと話すときにその業務に関する基本的な業務プロセスを理解していなければ、クライアントとのコミュニケーションがうまくいきません。
ITコンサルタントのキャリアパスは?
ITコンサルタントのキャリアパスは大きく以下の3つがあります。
- マネジメント層や部長職等を目指す
- 他のコンサルティングファームへ転職する
- 事業会社の情報システム部へ転職する
フリーランスのITコンサルタントの仕事のとり方は?
ITコンサルタントはBtoB契約が主流です。そのため、個人の営業ではそもそも契約できないことも少なくありません。そのため、最近ではITコンサルタントに案件の紹介をしてくれるマッチングサービスなどを利用する人が増えています。
ITコンサルタントは激務なのか?
ITコンサルタントは激務になりがちです。その理由には以下のようなものがあります。
- 人材不足が深刻であるケースがある
- 納期が決まっている案件が多く、残業しなければ業務が処理できない
しかし、近年の大手コンサルティング会社では残業対策を行っており、徐々に残業時間も減ってきています。企業によるところも多いので転職等を検討している場合には直接聞いてみると良いでしょう。
まとめ
今回の記事ではITコンサルの平均年収をご紹介しました。DX案件を探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。