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ERP案件の仕事内容
ERPは需要が高く、必然的に開発や導入の案件も多くなっています。ERP案件といっても、そのプロジェクトによって対象の業務領域や導入するシステムは異なるため、ERPコンサルタントに求められる役割は非常に多岐にわたります。
業務内容
- クライアントの業務の分析とERPソリューションへのニーズの洗い出し
- 現行のITインフラの分析とその改善点の提案
- ERPソリューションの設計と開発
- ユーザーが親しみやすいUIの設計と開発
- 開発したERPシステムの導入と、他システムとの連携の仕組みの構築
- テストの実施、およびパフォーマンス課題の解決
- 業務プロセス、システム操作のドキュメント化
- ユーザーへのトレーニングの実施、技術的なサポートの提供
クライアントのビジネスや業務を詳細に把握し、ERP実装や継続的なサポートを提供することが求められます。また、既存のITシステムと導入しようとしているERPシステムが効果的に連携できる仕組みを構築することも重要になります。
ERP案件に求められるスキル・知識・経験
ERP案件の担当者に求められる仕事はさまざまであるため、求められるスキルや経験も多様になります。具体的には以下のようなスキルが求められます。
IT全般のスキルと業務経験
ERPシステムの開発と導入のため、ITの包括的な知識が必要になります。まず、ハードウェア、ソフトウェアの知識に加え、アドオン開発などのためプログラミングスキルも必要になります。
また、他システムとのデータ連携の実装なども求められることが多く、APIなどデータ連携の知識や実装経験、そして旧システムからのデータ移行の経験も求められます。
業務スキル
ERPシステムには企業の業務全体のサポートが求められるため、ERPの開発・導入担当には業務スキルも求められます。
ERPシステムによる業務サポートの範囲はプロジェクトによって異なりますが、財務、営業、マーケティング、サプライチェーン、製品管理、購買管理など、幅広い業務理解が求められることが多くなります。業務に合わせて適切な機能の開発やワークフローの構築などを行う必要があり、深い業務理解が求められます。
マネジメントスキル
ERP開発・導入のプロジェクトを成功させるためには、タスクや課題解決をスケジュール通り進行させていくこともポイントになります。
そのため、極力スケジュールを遅延させないようにすることはもちろん、大きな課題が発生してしまった場合もクライアントと対応策を検討・合意し、開発コストが大きくならないよう対応することが重要になります。具体的には、適切な人材の確保、効率的なタスクの割り振り、詳細で正確な進捗確認など、プロジェクトのマネジメントスキルが必要になります。
コミュニケーションスキル
ERP開発のプロジェクトは多くの関係者と一緒に進めていくものであるため、コミュニケーションスキルも必要になります。プロジェクトでERPコンサルタントとしての役割を任された場合、経営層とのニーズの洗い出し、業務部門の担当者との業務設計、エンジニアとの機能開発、など多くの関係者と折衝しながら進めていくことになります。
各担当者と良好な関係を築くためには、各担当者と議論するための専門知識に加えコミュニケーションスキルが特に大事になります。直接のものだけでなく、文章でのコミュニケーションスキルも重要になります。
ERPエンジニア・コンサルタントの年収
ERPエンジニア・コンサルタントの年収はもちろん所属する企業や経験によって異なります。需要が高く、プロジェクトでは経営層を相手に仕事をすることもあることや、システムや業務の幅広くかつ深い知識、そして経験やスキルも求められるため、上位層のERPエンジニア・コンサルタントは高給となる傾向にあります。一般的な目安としては以下となります。
- 20代中盤~30代前半 500~800万円
- 30代前半~30代後半 800~1,100万円
- 30代後半~40代前半 1,100~1,500万円
ERPエンジニア・コンサルタントの案件事例
実際の案件事例としては、以下のようなものがあります。ERPは全ての業界に対して有効な手段であるため、常に多くの案件があります。
外資製薬のOracle ERPを日本法人に展開するための支援
外資の製薬会社が利用するOracleのERPシステムを日本法人にも導入するためその計画を作成するプロジェクトになります。日本法人に合わせた仕様の検討と、日本のユーザーおよび本国メンバーとの仕様調整などを担当します。
営業部門をサポートするためのクラウドERPサービスの立ち上げ
営業を支援するクラウドERPの導入とそのために必要なチームの立ち上げを行うプロジェクトになります。新たな業務プロセスの構築および営業部門をサポートするためのシステム開発を任されることになります。具体的には、業務プロセスの構築、営業担当者と顧客の連絡用ツールの導入、マニュアル作成と営業担当者へのトレーニングの計画・実施などを担当します。
原価領域の業務フロー改革を目的としたERP導入
生産部門の原価管理業務改善のためERP導入を行うプロジェクトになります。ToBeの業務とそれに合わせたシステムの開発が求められます。具体的には、想定の業務シナリオの作成、クライアントと要件の洗い出しを行っていく会議体の運営、ERPシステムの開発と導入などを担当します。
生産管理システムの刷新
製造業の企業で使用されている生産管理のレガシーシステムを新しいERPシステムに刷新するプロジェクトです。旧システムを新システムに作り変えるプロジェクトとなるため、移行関連のタスクの実施も担うことになります。顧客やチームメンバーとの進捗および課題の共有と管理、新システムへのデータの移行、新システムでのユーザーへのトレーニング計画の策定、などを担当します。
出版企業へのSAP会計システムの新規導入支援
大手出版業向けにSAP HANA Enterprise Cloudの導入を行うプロジェクトです。他のモジュールでは他社ベンダが参画しているため、協力しながらプロジェクトを進めていくことが求められます。クライアントとの会議のファシリテート、システムの概要とカスタマイズ部分のクライアントへの説明、システム連携部分の設計(IFレイアウトの作成)、などを担当します。
(参考:foRPro|フリーコンサル案件紹介サービス)
ERPエンジニア・コンサルタントのキャリアパス
ERPシステムは特定の領域や業務だけではなく、企業全体をサポートするものであるため、ERPエンジニア・コンサルタントは幅広い業界で需要があります。
以下のようなキャリアパスを選択することで、ERPエンジニア・コンサルタントとしてより活躍できる環境で働くことが考えられるでしょう。
- コンサルティングファームへERP開発・導入のコンサルタントとしての転職
- SCM、CRMなど、特定の業務領域へ特化した企業への転職
- 大企業の業務改革を担当する部署への転職
- 社内のITプロジェクトの責任者としてのキャリアアップ
- 事業会社へ業務システム管理の担当者として転職
ERPエンジニア・コンサルタントの将来性
ERPエンジニア・コンサルタントの需要は今後も高い状態を保ち続けることが予想されますが、その背景にはいくつか理由があります。
システム刷新案件の増加
近年は大企業間でM&Aが活発であることもあり、経営統合が行われると業務システムの刷新の動きが出てくる傾向にあります。
クラウドの普及
クラウドサービスの普及により、中小規模の企業でもERP導入のハードルが低くなっていることも今後ERPコンサルタントの需要が高まる理由の一つとして挙げられます。
以前のオンプレミスが主流の時代は、インフラの整備やセキュリティ対策を企業が独自で行う必要があるため、コスト面などの理由からERPなど規模が大きいシステムは大企業でないとその導入を検討することが難しいものでした。
しかしクラウドサービスの普及により、インフラの管理やセキュリティ対策はクラウドサービスを提供する企業に任せることができるようになったため、規模の大きなシステム導入でもそのハードルは下がっています。
その結果、規模の小さい企業でもERPの導入も検討しやすくなっています。現在は、クラウド上で構築するERPも開発されているため、企業の規模にかかわらずERPは導入しやすいものになっています。
まとめ
今回の記事では、ERP案件に必要なスキルについて解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。