目次
Big4監査法人とその仕事内容
日本においてBig4監査法人とは、以下の4つの監査法人を指します。
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任あずさ監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- PwCあらた有限責任監査法人
監査法人の仕事内容は、主に監査業務と非監査業務(コンサルティングサービス)の2つに分類されます。
監査法人の仕事内容(1)…監査業務
監査法人の仕事の中でも大きな割合を占める監査業務は、公認会計士のみが行える独占業務となります。監査業務とは、監査法人のクライアントの作成する財務諸表が適正に作成されていることを、公正な第三者としての立場で公認会計士が監査し、証明することです。
この公認会計士による監査が有効であるためには下記2つが重要です。
- 精神的独立性:監査人はクライアントに対して、公正不偏の態度を持ち続けること
- 外観的独立性:クライアントとは特定の利害関係を持たず、その疑いを招くような外観
そのため、監査法人による監査はクライアントからの依頼で行うものですが、監査人は監査と言う立場を超えてクライアントに対し経営に関わる助言などを行うことはできません。
これらの趣旨から、すべての上場会社は金融商品取引法により公認会計士監査が必要と定められています。
さらに医療法人や社会福祉法人、学校法人、独立行政法人なども、公表する財務諸表が適正であることの信頼性を担保する必要性の大きさから、法令等を設けて監査を要することとされています。
監査法人の仕事内容(2)…コンサルティングサービス
監査法人では、会計に関する専門的知識を活かして、監査業務の他にコンサルティングサービスなども提供しています。コンサルティングサービスとは、クライアント企業の必要とする助言や相談を行うことによって、クライアントが抱える問題点を解決に導くことです。
具体的には、下記のような会計のスペシャリストとしてのサービス提供を行っています。
- M&Aアドバイザリーサービス
- 企業再生アドバイザリーサービス
- 組織再編アドバイザリーサービス
- 株式公開支援(IPO)サービス
- 国際財務報告基準導入支援サービス
税理士法人の仕事内容
税理士法人とは、納税者の利便性の向上を目的として、税理士としての業務を組織的に行うために税理士が共同して設立する法人を言います。
税理士法人の業務については、税務書類の作成、税務代理、税務相談など、税理士法や財務省令で定める業務の範囲に限定されており、税理士業務と関係のない業務を行うことはできません。
税理士法人は税理士業務を行う法人であるのに対して、監査法人は上記のようにクライアントの財務諸表の適正性を保証することを主たる役割とする法人です。
税理士法人は税務に関わることであればクライアントの立場に立ってアドバイスが可能ですが、監査法人はクライアントと独立の立場を維持しなくてはならないため、監査対象のクライアントの経営に関してアドバイスをすることは許されません。
このように監査法人と税理士法人の両者は、企業の決算書類を扱うという点では共通しているものの、それぞれ異なる役割を持った法人となります。
監査法人と税理士法人の違い
クライアント規模が異なる
監査法人と税理士では、クライアント企業の売上規模が異なることが多いです。
監査法人の主なクライアントは、法定監査を義務付けられている企業です。監査が必要になるのは最終事業年度の貸借対照表に計上した資本金5億円以上、または貸借対照表の負債の部の合計が200億円以上の株式会社です。
一方、税務は納税義務のある法人・個人すべてが対象になります。そのため、税理士法人のクライアントは大手企業から中小企業まで幅広いことが特徴です。
また、前述した通りクライアントからの独立を求められるか否かによって、経営に関するアドバイスができるかどうかという違いもあります。
Big4監査法人の年収
Big4監査法人の役職別年収
監査法人の年収は年齢に関係なく、監査法人に入所した年次と各人の監査法人でのパフォーマンスで決まります。
一つのポジションから次のポジションに昇格するまでの年数は3~5年ほどとなるのが一般的ですが、個人の能力や貢献度によるところが大きく、若くてもパートナーまで上り詰める人もいれば、なかなかマネージャーになれないケースもあります。
監査法人の経営者としての社員の年収は1500万円以上という高額になり、監査法人への貢献度の高い社員の中には、数千万円の報酬を得ているケースもあります。
- Big4監査法人の役職別年収例
- スタッフ(アソシエイト):400~650万円
- シニアスタッフ:600~850万円
- マネージャー:1000万円前後
- パートナー:1500万円~
Big4監査法人とBig4税理士法人の年収との比較
Big4監査法人とBig4税理士法人の年収や給与体系には大きな違いはなく、それぞれのポジションやステータスによる違いの方が大きく影響します。
監査法人に勤務しているのは、公認会計士か公認会計士試験の合格者がほとんどとなります。一方税理士法人に勤務しているのは、税理士資格の保有者と税理士試験の科目合格者が多くを占めます。
しかし中にはこれらの資格を持たずに勤めているケースもあり、報酬額は各々の能力や貢献度によって異なることになります。
Big4監査法人と中小監査法人の年収との比較
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模計が10人以上の法人に勤める公認会計士、税理士の年収平均は958万円、企業規模計が100人以上の法人に勤める公認会計士、税理士の年収平均は11687.1万円となっています。
このことから中小の監査法人の年収は、大手監査法人に比べて多少低くなることが分かります。大手監査法人ではクライアントの規模も大きく監査報酬も高額になるため、比例して年収も高額になるのが一般的と考えられるためです。
監査法人以外の平均年収との比較
公認会計士や税理士の年収は、その他の業種の平均的な年収と比べてどれくらいの違いがあるのでしょうか?
国税庁調べによる「令和2年の民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たり平均給与は433万円という結果でした。
まとめ
今回の記事ではBig4監査法人と税理士法人の違いについて解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。