近年、普及してきているメタバース。東京ゲームショウ VR 2022では電通グループが大型イベントのメタバース化を推進するアプリケーションシステムを引き続き開発・提供するなど、大企業のメタバースへの投資も盛んになっています。
メタバースへの投資が盛んになるということは、メタバースに関わる仕事が新たに生まれるということです。
ここではメタバースに関わる仕事にはどのようなものがあるのか、職種の紹介や求人の紹介などをご紹介します。
目次
メタバースに関わる仕事
まずは、メタバースの制作に関わる仕事を紹介します。
サービスや製品を開発するエンジニア職
まずはメタバースのもっとも基本的なところであるサービスや製品などメタバースの基本的なプラットフォームを開発するエンジニア職です。また開発以外にもプラットフォームを管理、維持していく運用保守業務もあります。
今後メタバースプラットフォームを活用してサービスを展開していく企業としては、メタバース内で店舗設営などのコンテンツをプログラミングしていくエンジニアという職種も生まれてくるでしょう。
コンテンツを制作するデザイナー職
エンジニア以外にも新たにコンテンツを作成するデザイナー職があります。このデザイナーと言っても様々なデザインがあります。例えば、以下のようなケースでデザイナーが必要となるでしょう。
- メタバース空間内で魅力的な店舗デザインを検討するケース
- 会社やその団体に合ったアバターのデザインを検討するケース
- NFTなどメタバース空間内での販売コンテンツの作成を検討するケース
自由な設計ができ、視覚的な要素が多いメタバースではデザインというのは非常に重要になります。したがって、今後、既存の3次元空間の制約に縛られずに物事を検討できるデザイナーの需要というのは高まってくると言えるでしょう。
販売や接客に携わる営業・マーケティング職
メタバース空間でコンテンツを作り上げたら、そのコンテンツをどのように販売するのか、マーケティング戦略も重要になります。そこで活躍するのが、マーケティング職と営業職です。マーケティング職ではこれまでのWeb広告やSNS広告、CMや屋外用のデジタルサイネージなどを活用するほか、メタバース空間内でも空きスペースを活用して周知ができないか検討します。営業職では実際にコンテンツの購入に集まってきたお客様に対してコンテンツの紹介を行う等して企業の収益アップに繋げます。
その他
上記に挙げた3つの職業はメタバースが登場することにより大きく普及すると予想される職業になります。しかし、それ以外にも様々な職業が出てくるでしょう。ここでは他の職業をご紹介します。
メタバース不動産投資家
初期のメタバース空間として「Second Life」というゲームがありますが、このゲームでは土地を買うという概念がありました。今後、他のメタバース空間でも空間内の特定のエリアを売買するというのは当たり前に発生するでしょう。そこで出てくるのがメタバース不動産投資家です。空間内の土地を購入し、貸すことで賃料を得たり、値上がりしたタイミングで売ることで利益を得えたりするビジネスが出てくるでしょう。
メタバース不動産代理店
メタバース不動産投資家が出てくるということは、売買を仲介する不動産代理店も出てくるということです。メタバース空間でも売買をする際にはいつその土地の権限を譲渡するのか、金額を払うのはいつのタイミングにするのかなど、現実世界と同じような問題が発生してくるでしょう。それを仲介するのが不動産代理店です。
コミュニティマネージャー
メタバース空間では様々なコミュニティが出てくるでしょう。そのコミュニティを管理するコミュニティマネージャーという仕事も出てくるでしょう。
P2E(Play-to-Earn)ゲーマー
現在でもeスポーツというプロゲーマーやYouTubeなどでゲームのオンライン実況をして稼いでいるYouTuberなどがいます。メタバース空間でもこのようなゲームが開催され、ゲームで人々を魅了して楽しませて報酬を得る形式や、ゲームをプレイし特定の条件をクリアすることで報酬を獲得できる形式、大会で勝ち上がること報酬を得ることができる形式など様々な条件でP2E(Play-to-Earn)ゲーマーというのが普及してくるでしょう。
NFT転売屋
メタバースの普及とともにNFTの転売も普及するでしょう。NFT転売する場合には報酬の一部がロイヤリティとしてクリエイターに支払われる形式になります。そのため従来の転売と比べて、転売でもクリエイターに利益が入る仕組みになっており、転売を推奨しているクリエイターも多くいます。そのため、今後もNFT転売は転売者にもクリエイターにも利益が上がる仕組みとして普及するでしょう。
メタバースに関する仕事をするメリット
ここではメタバースに関係する仕事をするメリットをご紹介します。
どこでも働ける
メタバースはオンライン上に存在するため、どこからでもアクセスできるようになります。そのため、どのような場所でも働けるようになります。
適度な現実感がある
これまでの単純なリモートワークではただパソコンに向かい合って淡々と仕事をこなすことが多かったのではないでしょうか。メタバースに関する仕事をする場合、例えば営業職等ではお客様と常にコミュニケーションを取らなければならず、適度に現実感があります。また、他の職業でもメタバース空間で簡単に雑談ができるようになり、リモートワークでよくある疎外感や虚無感が解消されるでしょう。
新たな出会いがある
メタバースが発展してくると新しいコミュニティがどんどん出てくるでしょう。現実世界と異なり、コミュニティまでのアクセスは一瞬となるため、仕事の休憩時間にも簡単に訪れることができます。また、アバターを介してお互いの表情なども分かるようになるため、新たな出会いの場になることでしょう。
メタバースに関する仕事をするデメリット
メリットがある一方、メタバースで仕事をするには課題やデメリットもあります。ここではデメリットをご紹介します。
ITリテラシーが必要
メタバースはITによって作られた空間なので、ITの基本知識(サーバーやネットワーク系の知識やC++やJavaなどのプログラミング知識、セキュリティ知識など)は必要不可欠です。特に、エンジニア以外の職業においてもUnityなど最低限、デザインを構築する言語の習得は必要と言えるでしょう。
法整備が追いついていない
メタバースが発展することに伴って金銭やサービスのやり取りが国内外で普及してきたり、著作権問題などが発生したりしました。これらの様々な問題に対して国際的な視点での法整備が求められました。
現在では欧州の法律家のヨーロッパ法律家協会が「デジタル資産の担保利用原則」を2022年に採択し、アメリカ法律家協会が「支配可能電子記録」を新設するための検討をしており、法整備は進んではいるものの、まだ発展途中である点には注意が必要でしょう。
日本においても、ユーザーがアバターとしてメタバースに参加する場合における個人情報保護法のあり方やメタバース内の資産をどのように保護していくのかというのが今後の課題となっています。
現実世界で人との交流が減る
メタバースで仕事をすることで、実際に人と会ってコミュニケーションを取ることが少なくなってしまいます。場合によっては仕事上ではすべてオンラインコミュニケーションとなってしまい現実世界では人とほとんど交流をしなくなってしまう場合にもあります。また、あまりに仕事に熱中してしまうと、ある種のメタバース依存症になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
メタバースに関する仕事を探す方法
ここではメタバース内の仕事を探す方法をご紹介します。
メタバース専門の求人サイトで探す
メタバース専門の求人サイトで探すのは一つの選択肢でしょう。例えば、転職サイトではMogura VR Job、転職エージェントではwithB、Web3.0 Jobsなどがあります。
ジョブマッチングサービス「メタジョブ」で探す
メタジョブで探す方法もあります。メタジョブではデジタルワークで働くことを目的に、アバターとして働けるお仕事を紹介しています。IT系の仕事ではなく、イベント営業や司会、学校の授業などを請け負うことになるので、IT系の知識がない方でも参加しやすいのが特徴です。
現在では数件しか募集がないですが今後増えていくことになるでしょう。
企業の公式ホームページから応募する
企業の公式ホームページから応募する方法もあります。現在、メタバースに力を入れている企業のサイトでは募集をしているケースがあります。主にインフラエンジニアやC++やJavaなどのアプリケーション開発のエンジニアが中心となりますが、知識がある人は探してみて応募してみると良いでしょう。
メタバースで仕事をするためのツール
ここではメタバースで仕事をするのに必要なツールをご紹介します。
Horizon Worksrooms
Horizon Worksroomsはメタバース内でチームが集まるためのバーチャル空間を提供しているサービスです。オンライン会議ではアバターを用いて表情豊かにコミュニケーションを取ることができます。空いている空間をバーチャルホワイトボードとして書き込めるようになっている等、様々な工夫があります。さらに専用のヘッドセットを使うことでより臨場感をもってメタバース内で仕事をすることができます。
(参考:Meta Horizon Workroomsでチームを1つに)
Cluster
Clusterはイベントを中心に取り扱っているメタバース空間です。イベントを楽しむだけでなく、UnityとCluster Creator Kitがあれば、自身のワールドをcluster上に構築することも可能です。メタバースに興味がある方は一度自分で世界を構築してみると良いでしょう。
(参考:Cluster)
VRChat
VRChatもイベントを中心に取り扱っているメタバース空間であり、これまでに25000以上のワールドが作り上げられていて成長しています。アバターを使って自己表現ができますし、世界中の多くのユーザーとコミュニケーションをとることができます。
(参考:VRChat)
メタバースの今後の見通しと将来性

メタバースの今後の見通しを市場規模で確認してみると、見通しは非常に明るいです。例えば、日本では2026年に市場規模が1兆円を超えると想定されており、2022年から年間1.7倍のペースで市場が急速に成長してする見込みです。世界的に見てもかなりの成長を遂げると考えられ、総務省が公表している予測値によると2030年には6788億米ドルになると考えられ、2021年から年1.4倍のペースで市場が成長していくと予想しています。
そのため、メタバースに関連する職業も今後急激に増えていきますので、最新技術を体感しながら仕事をしたい人は、この機会に挑戦してみても良いでしょう。
(参考:メタバースの国内市場動向調査を実施(2022年))
(参考:第2部 情報通信分野の現状と課題)

まとめ
今回の記事では、メタバースの仕事について解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。