ブロックチェーンは近年発達してきた分野であり、ビジネスモデルとして仮想通貨や決済システム、自動車業界など幅広く活用されています。しかし、具体的にブロックチェーンとビジネスのつながりについてはあまり知られておらず、これからさらに市場が発達していくと考えれば把握しておかなければいけません。今回はブロックチェーンのビジネスモデルや、ブロックチェーンとビジネスのつながりを活用事例とともに解説します。
目次
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンはネットワーク上にある端末同士を接続して、端末同士の取引記録を暗号技術によって改ざんなどを困難にする技術です。データの破壊や改ざんが難しいため、重要情報の取り扱いなどに適しています。主に仮想通貨の取引などに用いられている技術であり、正確な取引記録を維持できるので金融機関などの情報保護が重要な業界での使用が検討されているのが特徴です。
ブロックチェーンの市場
ブロックチェーンの市場はこれからさらに広まっていくと予想されていて、企業などで重要情報の取り扱いに関して活用されていくと考えられます。日本国内だけの以上に収まるわけではなく、世界中でブロックチェーンの市場は広がっていくと予想されています。近年では人工知能・IoT・ビッグデータの活用が活発になっているため、インターネット上の情報の保護が必要です。こういった背景から、ブロックチェーンの市場は更に広がっていくといわれています。
(参考:平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査))
ブロックチェーンの分類
ブロックチェーンは取引内容の公開範囲や管理者の有無によって、パブリック型・プライベート型・コンソーシアム型の3つに分類されます。使用される目的や管理方法によって、どのブロックチェーンが使用されるか決定するケースが多いです。パブリック型・プライベート型・コンソーシアム型の特徴について解説します。
パブリック型
パブリック型はブロックチェーンの中でもオーソドックスであり、管理者が存在していなくて誰でも許可なく接続して取引に参加できるブロックチェーンです。利用者間で情報の共有と監視をおこなっているため、情報の透明度が高いことが管理者が不要な理由といえます。一方で情報を共有して取引をおこなっているので、プライバシーの保護は保障されていません。パブリック型は誰でも接続して取引に参加できる特徴から、多くの仮想通貨で採用されている方法です。
プライベート型
プライベート型は管理者によって運営され、参加できるユーザーも管理者によって許可されたユーザーだけになります。参加できるユーザーが限られているためプライバシーが保護され、企業内や組織内などで情報を管理する場合の採用が多いです。管理者がルールを決定しているため、管理者の独断でルールが変更されたり、管理者にトラブルが起きれば運用が停止したりするデメリットがあります。自分たちだけで情報管理する企業として、金融機関から注目されているタイプです。
コンソーシアム型
コンソーシアム型は複数の管理者が管理しているブロックチェーンであり、分散性とルール変更などは一定数の同意が必要な公平性が特徴です。コンソーシアム型は複数の企業や団体が参加するプロジェクトなどで採用され、お互いの情報共有や分散性によって簡単に情報改ざんなどができません。また、お互いに情報共有と監視をおこなっているため、セキュリティ能力を高めているのが特徴です。最近では仮想通貨でも、コンソーシアム型を採用しているケースもあります。
ブロックチェーンの進化とビジネスのつながり
ブロックチェーンの進化と、ビジネスのつながりは非常に重要です。社会ニーズや目的によって、ビジネスに活用できるさまざまなブロックチェーンが開発されました。ブロックチェーンは1.0、2.0、3.0などのバージョンにわかれています。それぞれのブロックチェーンで、開発された背景などが違うのが特徴です。それぞれのバージョンの違いについて解説するので参考にしてみてください。
ブロックチェーン1.0
ブロックチェーン1.0は仮想通貨などの金融取引を可能にしており、管理者が存在していなくても個人間で取引ができるようになりました。匿名による送金や決済ができるため、活発的に取引がおこなわれています。プロジェクトに参加している個人は、複雑な手続きをなくして簡単に仮想通貨取引ができる環境を実現しました。数百種類の仮想通貨でブロックチェーン1.0は活用されています。
ブロックチェーン2.0
ブロックチェーン2.0はブロックチェーン1.0で問題になっていた、仮想通貨の送金や決済に時間がかかっていた部分を改善しました。どうしても送金や決済に時間がかかってしまうと、市場全体のスマートさに欠けてしまいます。ブロックチェーン2.0は取引をさらに円滑にするのに加えて、スマートコントラクトにも対応したバージョンです。スマートコントラクトとは簡単にいうと、先に設定しているプログラムを自動的に実行するシステムになります。
ブロックチェーン3.0
ブロックチェーン3.0ではこれまでは仮想通貨を主に使用されていたブロックチェーンを、他の分野でも活用できるようなバージョンアップを果たしました。知的財産や教育・ヘルスケアなどにも適用されたため、一般的な知名度はブロックチェーン3.0から広がったといわれています。加えてブロックチェーン2.0よりもベース機能もアップしているため、速くて安全に効率的に情報を送れるようになりました。ベース機能の向上と適用される分野が、大きく増えたバージョンといえます。
ブロックチェーンの活用事例
近年ではブロックチェーンが採用されている業界も多くなっているため、自分たちでは気づいていない間に使用しているかもしれません。これからさらに活用される場面が多くなると予測されており、どのような場面で活用されているか知っておきましょう。ブロックチェーンの活用事例としてはスマートコントラクト・権利の管理・トレーサビリティが挙げられます。それぞれのブロックチェーンの活用事例について解説します。
スマートコントラクト
スマートコントラクトは、先に設定しておいたプログラムを自動的に実行するシステムです。そのため、契約書などの決まった手続きが必要になるケースで活用されています。東京海上日動では保険料の徴収と保険料の支払いを自動化する目的で、実験的に2020年3月からスマートコントラクトを用いて保険料徴収をおこないました。保険の契約内容を先に設定してから、保険料の支払いはデジタル通貨のトークンを使います。結果として、スマートコントラクトの有効性が証明されました。他にも不動産業界や、ゲーム業界でもスマートコントラクトは注目されている技術です。
(参考:ブロックチェーン技術を利用した 保険契約における業務プロセスの自動化に関する実証実験を実施~スマートコントラクトを用いた保険金支払業務の自動化~)
権利の管理
ブロックチェーンは外部からの情報改ざんなどが難しい特徴を活かして、権利の管理を団体を通さずに証明できるようにしています。ソニーでは音楽権利管理実証をおこなっており、権利情報を証明するのにブロックチェーンを使用しています。音楽制作のプラットフォームとしてsoundmain(サウンドメイン)を開発しており、誰でも気軽に音楽の売買ができる環境を整える構想を立てています。soundmainで売買する音楽データを、ブロックチェーンで管理すれば著作権情報登録が効率化されていくと考えられます。これによって人々がさらに自由に活発的に、音楽の売買をおこなうと予測されています。
(参考:ソニーが世界を変える!ブロックチェーン技術を用いた音楽の権利管理実証)
トレーサビリティ
トレーサビリティは商品が持っている被追跡能力になっており、生産者や消費者がどうやって商品が手元に届いたか確認できるシステムです。伊藤忠商事では天然ゴム分野で、ブロックチェーンを導入しています。原料生産者・輸送業者・加工業者・タイヤメーカーなど、関わっている業者が情報を共有するのが特徴です。製品追跡によって問題が発生した場合には、速やかに対応して商品回収などにも活かせます。これによって生産者も消費者も実際に問題が発生する前に、効率的にリコールなどをおこなって人々の安全を守ることが可能です。
(参考ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ実証実験について)
ブロックチェーンの危険性
ブロックチェーンは安全性が高くてさまざまな業界・分野で活用されていますが、過去にはいくつか事件も発生しました。ブロックチェーンで発生した事件としては、セルフィッシュ・マイニングとモナコイン事件の手口が代表的です。他の方法などと比較して安全性が高いといわれていても、ある程度は危険性があるのは避けられません。ブロックチェーンの危険性を理解するためにも、セルフィッシュ・マイニングとモナコイン事件の手口を解説します。
セルフィッシュ・マイニング
セルフィッシュ・マイニングはブロックチェーンのルールを理解して、ルールの抜け穴を悪用してブロックチェーンを不正に書き換えました。ブロックチェーンのメインチェーンから隠れて、メインチェーンよりも長いマイナーチェーンを作成しておきます。取引所などで取引が完了したタイミングで、未公開のマイナーチェーンを承認させれば、メインチェーンを書き換えることが可能です。ブロックチェーンではケース次第で長いほうのチェーンを、メインチェーンとする仕組みを悪用した方法になります。
(参考ブロックチェーンの危険性とは?特徴やセキュリティ対策について紹介)
モナコイン事件の手口
モナコイン事件はセルフィッシュ・マイニングを悪用して、取引後にモナコインで既存のメインチェーンよりも長いマイナーチェーンを公開しました。ハッカーはこれまでの自分自身がおこなってきた購入履歴などを無効化して消去します。結果として事件後にモナコインの価格は大きく落ちて、暗号資産取引所のセキュリティが見直されるようになった事件です。セルフィッシュ・マイニングはモナコイン事件によって、新しいハッキング手法として広く知られることになりました。
(参考ブロックチェーンの危険性とは?特徴やセキュリティ対策について紹介)
まとめ
今回の記事ではブロックチェーンのビジネスモデルをご紹介しました。DX案件を探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。