DX事例

住宅業界におけるDX推進のメリットは?成功させるポイントと事例を解説。

住宅業界DX

近年、都心の新築マンションは大幅に上昇しています。その理由としては建築資材の高騰という背景があります。そして住宅業界の各メーカーはそのような状況の中でも社内の業務プロセスや営業活動などを効率化していかに競争力を高めるかが課題になっております。ここでは、その一環として他の業界でも着目されているデジタルトランスフォーメーション(DX)に焦点を当てて解説いたします。

foRPro募集広告

住宅業界におけるDXの事情・動向

出典:総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究

住宅業界ではこれまで契約書類を含め紙の書類で営業活動をすることが多く、顧客のニーズも様々でありカスタマーリレーションシップも構築できず、なかなか営業活動でのDXも進んでいませんでした。また、営業活動以外にも設計図、意匠図の作成、構造計算など業務上、システム化されているところは多く存在しますが、これらの部分においても専門性が高いため、効率化には至らないのが現状です。

実際に総務省が公表している業種別のデジタル・トランスフォーメーションの取組状況では、実際にDXに取り組んでいると回答している企業が23.3%(上記画像 不動産業2018年~2020年の合計)と他の業種に比べて劣っています。この点から、住宅業界のDXはまだ始まったばかりで、検討が進んでいない企業が多くあると考えられます。

住宅業界においてDXが求められる理由

現時点で住宅業界においてDXが進んでいないというのはわかりました。では、現在どのような理由で住宅業界においてDXは求められているのでしょうか。大きく2つの要因に分かれているので、紹介いたします。

原材料費の高騰

原材料費の現状ですが、ここ10年で4割近く上昇しています。一方、不動産価格というのはマンションは6割近くの上昇となっていますが、戸建住宅等を含めた総合価格というのはここ10年で2割ほどの上昇となっております。つまり、原材料費が高くなっている分、人件費やそれ以外の作業費は抑えている傾向が高いということが分かります。この原材料費以外の費用をどのように抑えるのか、ここにDXが求められていると考えられます

インターネットやSNSの普及

近年はインターネットやSNSの普及が著しく、住宅に関して何か検討しているお客様は調べることで質の高い情報をすぐに入手することができます。特に動画サイトの普及が大きく、住宅の専門家が住宅に関する知識を説明している動画はたくさんあります。その中で、住宅業界ではお客様に必要な情報を漏れなくかつ分かりやすく伝えなければなりません。

また、現在ではSNSを通じてメーカーの評判や他の人がそのメーカーに訪れた際の印象などをすぐに確認できるようになりました。そのため、各メーカーはお客様の満足感向上のためにお客様の要望を事前に把握しておく、要望はすべての従業員で共有できるようにするなど、営業プロセスを改善する必要性も出てきています。

住宅業界においてDXを導入するメリット

実際に住宅業界で、DXを導入するメリットを大きく5つに分けて紹介していきます。

業務効率化

一つ目は業務効率化です。住宅業界では営業をかけることも必要です。しかし、お客様に闇雲に営業をかけてしまっても成果は上がらないのではないでしょうか。

近年では、お客様にどのような価格帯の物件を求めているのか、どのあたりに住みたいのか、などお客様の要望を細かくヒアリングしたのち、メーカー内で共有し、確認できるようになってきています。そのため、お客様に効率的にアプローチを行うことができ、業務の効率化を行うことが可能です。

労働環境・条件の改善

これまでは施工段階になると、多種多様な情報やモノ、人が複雑に関係しながらプロジェクトが進行していくことになるため、システムでの管理が出来ていませんでした。しかし、建築工程の現状を分析し、問題点やボトルネックを解消するための標準的な業務フローを構築することで、徐々に工程管理のデジタル化が行えるようになってきていますまた、クラウド化によって、その工程管理を関係者全員が確認出来るようにすることで、工程の進捗状況に応じてフレキシブルに調整を行えます。その結果、夜遅くまで建設しなければならないような状況に陥らず、従業員の労働環境に配慮した施工が行えるようです。

顧客満足度の向上

近年ではコロナの影響で思うような物件見学ができず、お客様も実際どうなのかという所感がわからず、せっかく問い合わせたのにと考えてしまい、顧客満足度はあまりあがらない状況でした。しかし、住宅展示場や見本となる物件の設備をVRで確認できるようになったり、Webセミナーを開いたりすることで具体的な状況を伝えることができる仕組みが徐々に出来上がってきています。

また、ある程度、お客様とメーカーとの間でお客様の求めているもののイメージが出来上がってきたら、個別営業を掛けることも出来るようになりました。

この仕組みにより、お客様は安心感を持って営業担当者と話せることが出来るようになるほか、お客様の満足度向上に寄与することが可能です。

人材不足の解消

DXが発展してくると、5G回線やICT技術を活用することにより、より高精度な通信が可能です。その結果、これまでは現場で行わなければならなかった、施工で必要な資材の確認や現場の監督作業などを遠隔地にある事務所で行うことです。さらに、AIの技術が発展してくるとロボットを活用して効率的な施工が行える可能性が出てきます。これらの業務効率化技術や人からの代替技術により、人材不足の解消が見込まれます。

内製化の促進

DXを促進する上で内製化というのは、重要です。これまで多くの会社はアウトソーシングにより他の会社にシステムの管理を任せた結果、ベンダーロックの状態となり、DXが促進されませんでした。そこで今後は一定の技術を持った自社メンバーを確保し、内製化を行うことでDXが促進されます。その結果、今後の人材育成もスムーズとなるほか、次のシステム構築もスムーズとなり、さらなるDXの促進に繫がります。

住宅業界でのDX推進を成功させるポイント

DXの推進には様々なメリットがあることが分かりました。では、実際にDX推進し、成功に導くためには何が必要なのでしょうか。ここでは3つのポイントを紹介します。

標準化

1つ目のポイントは業務の標準化、カテゴライズ化を行うことです。設計においても、土地や法律などの条件確認、エスキース作成、設計、構造計算など様々な手順を踏むことです。BIMなどで施工プロセスまで具体化して検証することもあります。

また、営業ではターゲットに合わせて提案状況や提案方法は様々です。まずはこれらを標準化することから始まります。設計をする場合には設計の手順を整理し、標準的な方法を確立します。営業活動などではターゲットとのコミュニケーションの進捗度合いを要望確認済み(進捗率20%)、提案中(進捗率40%)、ターゲット検討中(進捗率80%)、成約(進捗率100%)などと状況をカテゴライズ化して可能な限り状況を正確に把握できる方法を確立します。この標準化活動を行うことでDXをスムーズに成功に導くことができるほか、効果的なシステムを構築することができます。

企業・社員が主体的に行動

DXはもちろんトップダウン方式で進めていく方法もありますが、それよりも大事なのは実務を担当している社員が積極的に行動することです。トップダウンで作り上げたシステムというのは経営者目線でシステムを構築することになるため、経営判断に役に立つように設計されてしまいます。

しかし、それでは実際に使用する担当者にとっては使いにくく、本当に改善したい業務プロセスにはアプローチができません。DXはデジタル技術を通じて、ビジネスプロセスや業務そのものを変更していくことが目的ですので、実際に使う担当者目線でシステムを構築することは必要不可欠です。したがって、DXを進める担当者は社員一人ひとりの理解を得るところから始めましょう。社員が一丸となって取り組むことで、担当者の課題としていることを把握しながら、効果的なシステムを構築することができます。

PDCAを回す

DXというのは一度デジタル技術を導入して、ビジネスプロセスや業務そのものを改善して終わりではありません。また、いきなり大きなシステムを導入し、大規模にDXを行うことはその分リスクも伴います。DXはまずはスモールスタートから始め、徐々に大きくするのが鉄則です。例えば、内部事務では書類をペーパーレス化するなど、細かいところから始め、データの連携をファイルで行うようにし、徐々に電子媒体主体の業務に変えていくなどです。そのため、繰り返しPDCAサイクルを回し、改善点を確認しながらアジャイル的に対応する範囲を広げていくようにしましょう。

住宅業界におけるDX活用事例

では実際にDXを行っている企業はどのような対応を行ったのでしょうか。ここでは住宅業界に関するDXの活用事例として3社を紹介します。

大和ハウス工業

大和ハウス工業では長期に渡ってDXを推進しています。特に着目する点は全社的にDXを進める体制を構築しているという点です。DX推進体制としては経営企画部(DX推進室)、建設DX推進室、情報システム部、本部部門、大和グループ各社が携わっており、互いに連携することで強固な体制を築いています。その結果、テレワークの推進、BIMの導入、Microsoft製品を導入してチャットやグループ通話の促進を行い、効果的な成果を挙げています。
(参考:大和ハウス工業株式会社 DX HISTORY

竹中工務店

竹中工務店では建設DX関連ソリューションというテーマで様々なDXを推進しています。例えば、現実空間(フィジカル空間)の都市を仮想空間(サイバー空間)に再現した地埋空間データ「3D都市モデル」の整備が、国土交通省の主導で進められています。竹中工務店では、この3D都市モデル等を基礎的な「まち」のデータとして利用し、これに「建物」のデータであるBIMなどを連携させることで、企画・設計サーピスの高度化をはかっています。

また、生産部門においては省力化・省人化を目的に、建設ロボットプラットフォームを開発しています。BIMデータと連動させることにより、自律移動や遠隔操作を可能としています。
(参考:竹中工務店 竹中の建設DXソリューション
(参考:竹中工務店  生産|新しい建築生産のかたち

住友林業

住友林業では、「事業のデジタル化」「組織・働き方のデジタル化」「顧客関係のデジタル化」「社会・経済のデジタル化」の4つのテーマでDXを推進しています。

事業のデジタル化ではCADや建築プロセスの効率化を進めており、組織・働き方のデジタル化ではRPAやOCR技術を活用して、単純業務の効率化にアプローチしているとのことです。

また、顧客関係のデジタル化ではグループ一体で顧客情報を統合管理することで、お客様に適切な情報提供や効率的なアプローチ方法を確立しています。
(参考:住友林業 情報セキュリティ/DX

まとめ

今回の記事では住宅業界におけるDX推進のメリットをご紹介しました。DX案件を探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。

フリーランスマッチングサービス【foRPro】
200万円/月以上の独自案件を多数紹介しております。

 

   簡単30秒で無料登録

タイトルとURLをコピーしました