AWSを活用できれば実現できることが多くなるだけでなく、企業にとってもデータ管理面から考えてもさまざまメリットがあるといえるでしょう。加えてAWSは数多くのサービスを提供しているため、それぞれの企業に適したサービスが見つけられるのも特徴です。この記事では、AWSを活用する上での注意点や活用事例を紹介します。
目次
AWSとは
AWSとはAmazon Web Servicesの頭文字を略したものであり、100種類以上の機能があるクラウドコンピューティングサービスです。インターネット環境が整備されていれば、サーバーやストレージなどの必要量に応じた使用が可能です。
AWSと従来型サーバーの違い
AWSはAmazonが提供しているサービスですが、AWS以前の従来型サーバーとの違いについても理解しておくのが大切です。オンプレミスとVPSとの違いについても解説します。
オンプレミスとの違い
AWS(クラウドサービス)とオンプレミスとの違いは、自社でサーバーを持っているか持っていないかの違いがあります。
オンプレミスでは社内にサーバー機器を設置して運用をしているため、物理的にサーバーを準備しなければいけません。そのため、インターネット上にサーバーがあるAWSとは違い、サーバー管理や設置場所の確保が必要です。
VPSとの違い
AWS(クラウドサービス)とVPSの違いは、リソースの拡張や縮小に手間がかかるかどうかの違いがあります。
VPSは共用のサーバーを借りて会社内の情報などを保証しますが、共用のサーバー内に個人用のサーバーが仮想的に設置されます。そのため、リソースを拡張や縮小する際には、一旦解約をして契約をし直す必要があります。VPSも仮想サーバーを使用するのではなく、実際に存在しているサーバーを使用しているのがAWSとの違いといえるでしょう。
AWSを活用するメリット
AWSを活用するメリットについて把握しておけば、自分たちにとって効率的に作業ができるようになります。具体的なメリットについて5つ紹介するので参考にしてください。
導入コストを削減できる
AWSは従来の方法とは違って、サーバーを導入する必要がないことからハードウェアとソフトウェアの導入コストが削減できます。また、AWSは従量課金制を採用しているため、定額制と比較すると無駄な費用が発生しないのも魅力です。他にも導入コスト以外にも運用コストや管理コストも削減できるといえるでしょう。
セキュリティレベルが高い
AWSはAmazonが提供しているクラウドコンピューティングであり、Amazonによって常に最新セキュリティが施されています。また、Amazon側で自動的にセキュリティアップデートなどを施すため、利用者が特別な操作をする必要がありません。セキュリティレベルが高いAWSを使用すれば、会社内のデータなども安全に管理・運用ができます。
柔軟性・拡張性が高い
クラウドコンピューティングによって従量課金での使用になりますが、必要になって設備や容量が多くなれば簡単に拡張が可能です。柔軟性・拡張性に優れているため、従来のサービスのように新しく契約するのが簡単にできるのも良い点といえるでしょう。新しい機能を追加したいと考えれば、AWSから希望に合っているサービスを選択すれば問題ありません。
サービスの種類が豊富で、幅広い用途で使用可能
AWSでは提供しているサービスの種類が豊富であり、自分たちが求めている内容に合わせて追加でサービスを選択できるのが特徴に挙げられます。企業によって必要になるサービスは違いますが、AWSでは幅広いサービスを選択できることから、幅広い用途で使用可能です。また、複数のサービスを組み合わせて使用をすれば、自分たちが困っていることや悩んでいることを解決できるでしょう。
専門知識がなくても使用可能
専門知識がなくても使用可能なのも大きなメリットといえ、従来の方法ではサーバー管理・運用などには専門知識が求められる場面もありました。一方でAWSであれば専門知識がなくても、AWSで用意されている内容から選択すれば最初から簡単に使用可能です。専門知識がなくても使用可能ということは、管理するために専門知識を保有している社員を雇用する必要がありません。
AWSを活用する上でのデメリット
AWSを活用するのはメリットだけでなく、デメリットも存在していることから、メリット・デメリットの両方を理解しておくのが大切です。AWSを活用する上でのデメリットについて解説するので参考にしてみてください。
コストが変動する
AWSは使用した分だけ料金を支払う従量課金制が採用されているため、毎月のコストがわかりにくく的確な予算を組みにくいといえます。また、使用方法や使用料によっては月額サービスと比較をした際に高額になってしまうケースも多いです。コストが変動するのは理解して、どれくらいのコストまでなら問題ないかについても決めておきましょう。
クラウド運用スキルが必要
従来のサーバーを使用するときのような専門知識は必要ではありませんが、一方でAWSを使用するためのクラウド運用スキルが必要です。AWSでは豊富な種類のサービスが提供されているため、それぞれを適切に使用するためには基礎概念や考え方を身につけなければいけません。
AWSには認定資格も存在しており、状況に合わせて認定資格の取得を目指しても良いでしょう。
導入コストは低いが、ランニングコストが高い
AWSはサーバーを購入する必要がないことから導入コストが低いですが、従量課金で毎月使用料の支払いが必要なのでランニングコストが高いです。サーバーを購入すると導入コストは低い反面ランニングコストが低く、AWSでは導入コストが低い反面ランニングコストが高い特徴があるのは理解しておきましょう。
AWSの主要なサービスと実現出来ること
AWSはクラウドコンピューティングサービスになっており、提供されているサービスは全部で100種類を超えています。その中でもAWSの主要なサービスと実現出来ることについて紹介するため、自分たちがAWSの導入を検討しているなら、どの主要サービスが自分たちの方向性と合っているかについて把握するのは大切です。AWSの主要なサービスとして5つ紹介します。
Amazon EC2
Amazon EC2はサーバー環境構築のサービスになっており、必要に応じてスペック変更が可能な仮想サーバーを作成・利用できるのが特徴です。サーバーのハードディスクやメモリなどのスペックの変更も簡単にでき、画面上の操作によって簡単に仮想サーバーを自分専用に変えられます。
Amazon S3
Amazon S3はオンラインストレージと静的なコンテンツを配信できるサービスですが、耐久性に優れていて保存しているデータが失われる可能性は極めて低いです。Amazon S3に保存できる容量やファイル数は制限がなく、大容量のデータなどの保存にも適しています。
Amazon RDS
Amazon RDSはデータベースが必要なときに作成して使用できるサービスであり、データベースが画面上の操作によって簡単に作成できるのが特徴です。一方でデータベースサーバーを管理する必要がないため、管理・運用も簡単なサービスといえるでしょう。
Amazon Route53
Amazon Route53はドメインネームサービスとして、エンドユーザーに対してインターネットアプリケーションでルーティングができます。ドメインネームサービスサーバーを構築する必要がなく、マネジメントコンソールから簡単に管理できるのも魅力です。
AWS Lambda
AWS Lambdaはサーバーの運用負担はなく、サーバーなしで任意のプログラムを実行できます。従量課金制になっているため、任意のプログラムを実行しても無駄なコストが発生しません。
AWSを導入する上での注意点
AWSを導入する上での注意点としては主に3つ挙げられますが、注意点を理解しないまま導入すると思ったような効果がでないこともあります。そのため、AWSを導入するためには注意点についてもしっかりと理解してから導入をするようにしましょう。
導入目的を明確にする
導入目的を明確にしてAWSを導入しなければ、どのサービスを利用するかについても決定できません。例えば、会社の膨大なデータを保存できる環境を探しているのか、仮想サーバーの構築を目指しているかによっても適切なサービスは異なります。そのため、AWSで提供されているサービスの効率を最大化しようと考えているなら、先に導入目的を明確にするのは大切です。
AWS専任のエンジニアをアサインする
AWSは自社で取り扱っているソフトウェアなどとは違った操作方法や考え方があるため、AWS専任のエンジニアをアサインが必要なケースも珍しくありません。自社内でAWSに対して一定の知識を持っている人材がいれば良いですが、いないのであれば効率を最適化するためにもアサインが必要です。使用するAWSによっては少し複雑な内容のケースもあるでしょう。
セキュリティ対策を万全にする
AWSではセキュリティは常に最新にアップデートされていますが、それだけに頼るのではなく自分たちでもセキュリティ対策はしておきましょう。企業で取り扱っている情報は機密情報や個人情報も含まれているため、セキュリティ対策は万全にしておくようにしましょう。仮にセキュリティ対策が万全でない状態で事業をおこなって、大切な情報が流出してしまうと企業全体の信用問題にもつながります。
AWSの活用事例
AWSはさまざまな企業で活用されているだけでなく、中小企業から大企業まで業種などを問わずに適しているサービスが提供されています。また、それぞれの企業によって採用しているAWSのサービスは違い、企業の特徴などに合わせて選択されているといえるでしょう。実際に企業ではAWSをどのように活用しているか、AWSの活用事例について解説します。
NTT東日本
NTT東日本では映像配信サービスにAWSを採用しており、NTT東日本がこれまで使用していたオンプレミス環境よりも必要になる時間の短縮に成功しました。オンプレミス環境では数ヶ月必要になっていた環境整備ですが、AWSではインフラ構築時間を数分程度に抑えられます。
(参考:AWS 導入事例:東日本電信電話株式会社(NTT東日本))
AGC
AGCでは3年間で142ものシステムをオンプレミス環境からAWSに移行をおこない、オンプレミス環境時代と比較するとインフラコストも6割程度になりました。また、AWSではインフラ構築などに必要な時間が短縮された結果として、積極的に新しいことにチャレンジをする姿勢が企業全体で浸透したのも特徴です。
(参考:AWS 導入事例:AGC株式会社)
資産科学研究所
資産科学研究所では少数精鋭のコンサルティング会社として営業していますが、重要な顧客情報を取り扱っているファイルサーバーをAWSに移行しました。AWSにファイルサーバーを移行したことによって、社内だけでなく社外からも安全にアクセスができるようになり、働き方改革の実現にも大きく貢献しています。
(参考:社員 5 名、IT 専任担当者不在の少数精鋭コンサルティング会社が重要な顧客情報を扱うファイルサーバーを AWS に移行社外から安全にアクセスできるようになり、働き方改革を実現)
まとめ
今回の記事ではAWSの活用でできることをご紹介しました。DX案件を探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。