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【ITゼネコンの問題点とは?】ITゼネコンの本来の役割や今後の展望を解説

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ITゼネコンとは

ITゼネコンとは、IT業界の用語として「システム開発元請負企業」を指します。
IT業界は、ITゼネコンを筆頭に元請け、下請けなどのピラミッド構造を形成しています。そのため頂点のITゼネコンは大企業になることが多いです。
ITゼネコンについて構造と歴史に分けて解説します。

ITゼネコンの構造
ITゼネコンは、クライアントから依頼があったシステム開発や構築などを請け負う多重下請け構造になっています。このような多重下請け構造を「SIピラミッド」とよぶ場合もあります。

クライアントから直接開発案件を受ける大手企業と、ピラミッド状に多数の企業が二次請け、三次請けと続いている構造が特にSIer業界ではよく見られます。
この構造が労働環境や賃金の格差を生み出している現況と言われています。

ITゼネコンの始まり
ITゼネコンは、官公庁や大手金融会社がシステム開発をする際に、自社でエンジニアが不足していた事が始まりとして挙げられます。大規模案件になるとシステムエンジニアを多く抱える必要がありますが、人員を自社だけで抱えると人件費が高くなるため、企業としてはコストが常に発生しデメリットになります。

そのため、大規模のプロジェクトをおこなう際には社内システムを開発できるSES企業やSler企業に外注をおこないます。しかし、SES企業やSler企業も大規模案件に対応できる人材をクライアントから言われてもすぐに対応できないため、さらに下請け企業に依頼をおこないます。その結果、ITゼネコンの多重下請け構造が生まれました。

ITゼネコンの問題点

ITゼネコンでは、大型プロジェクトで人材を確保する際に多重下請け構造でエンジニアなどを集めますが、問題点が3つ挙げられます。
・給与格差の問題
・人材育成の問題
・労働環境の問題

給与格差の問題
経済産業省が公表している情報によると、4社に1社は下請けのみをおこなっている企業と報告されています。多重下請けでは、それぞれの企業で中間マージンを取っているため下請けの階層が低いほど会社に入る報酬は減額します。マージン率は企業や働き方によって異なります。
(参考:経済産業省「IT産業における下請けの現状・課題について」

ITゼネコンのマージン率は、働き方から次のように変わってきます。

■働き方/マージン率(平均)
・客先常駐/47%
・一般派遣/31.3%
・フリーランス/8~12%

そのため、階層が低い会社の従業員は給料も必然的に低いです。しかし、大手ITゼネコン企業では元請けで開発依頼を受けることができるため、給料も下請け企業に比べると高くなります。
(参考:常駐SEのマージンは47%|客先常駐,派遣,フリーランスで比較
(参考:厚生労働省「労働者派遣事業報告書」
(参考:契約と手数料について(PE-BANK)

人材育成の問題
ITゼネコンでは、各領域や開発工程によって求められるスキルが異なります。SESやSlerのエンジニアは、各領域で専門的な知識を有している人をアサインしますが、プロジェクトでは持っている知識やスキルだけで業務を遂行させるためスキルに偏りが出てきます。

大規模のプロジェクトでは年単位で稼働するため、一つの業務でのスキルや知識は身につきますが、他の要件定義や品質管理などのスキルを磨く機会がありません。また、下請けの階層が深いほどおこなう業務は単純化します。単純作業では、マニュアル化していることが多いためスキルや知識が身に付きにくいです。

労働環境の問題
システム開発などでは要件の変更や修正が多々起きるため、プロジェクトがスケジュール通りに進まず、労働環境が悪くなりがちです。SES企業やSler企業がクライアントとプロジェクトの契約をおこなうと、納品日が指定されます。しかし要件の変更や修正があっても、納品日には間に合わせる必要があるので、過度な残業や休日出勤を強いられがちです。

そのため、ライフバランスが悪くなり体調不良やモチベーションの低下につながる恐れがあります。

ITゼネコンの本当の役割

ITゼネコンは、大規模なプロジェクトを期限内に完結させるために編成される体制だといえます。ITゼネコンは、プロジェクト内での役割や外部との折衝など自分にしか出来ない役割が多くあるため、客観的な視点でマネジメントする役割が必要不可欠です。

マネジメントをおこなうポイントとして次の4つが挙げられます。
・予算管理
・工程管理
・原価管理
・品質管理

予算管理
ITゼネコンにとって、プロジェクトの予算を乱さないことは最低限守るべき事項になります。ITゼネコンでは、建設現場のゼネコンとは異なり人命に直接影響を与えるモノではありません。しかしIT業界では、予算の関係で途中でプロジェクトが終了する場合や他企業に引き継ぐなどの場合もあります。このようなプロジェクトの存続に関わるリスクを予防するために、マネジメントを行いながらプロジェクトを進めていく必要があります。大規模なプロジェクトになると、顧客との会議などで課題管理表やリスク管理表を用いて、予算の予防措置が取られているか確認します。
このように予算管理は、プロジェクトの存続リスクを予防するために必要になります。

工程管理
ITゼネコンは、クライアントの納期を守りながらプロジェクトを完結させる必要があるため、工程管理は欠かせません。そのためITゼネコンでは、プロジェクト全体から要件定義を行い、作業工程をWBSやガントチャートに落とし込み進捗管理を行います。作業の進捗管理は、納期を厳守するためには可能な限り細かい粒度で記載して、週次や月次などで進捗を確認します。その際にリスクや課題が上がった場合には、いつまでに対応できるのか明確に決めます。

しかしプロジェクトの進行上、要件や仕様がなかなか決まらないことがあり、途中で変更されることも多々あります。またクライアント企業が必ずしもITの知識に優れている訳ではないので、実際に制作する段階で認識とずれることがあるため注意が必要です。

原価管理
ITゼネコンの原価は主に人件費で、下請け分と自社社員の人件費が必要になります。プロジェクトには、仕様の変更や修正が起こります。その際にエンジニアのスキルが修正に対応出来ない場合は、他の下請け企業に発注をしたりしますが、その分コストがかかります。後工程で投入予定で合った予算を最初に使うことになるため、後工程の要因が減ったり、利益を削ることにも繋がります。また、プロジェクトが炎上することもあるので、ITゼネコン全体で何とか黒字ということも珍しくありません。
そのためITゼネコンでは、プロジェクトの使用の変更などを考慮して原価管理を行う必要があります。

品質管理
製品やサービスを開発した後は、必ず品質の確認をおこないます。品質の確認は、各工程ごとに情報整理をおこない、リスクに早期対応する事が重要です。下請け企業ごとに開発した製品については、品質チェックシートなどを活用して一つひとつ丁寧にレビューを行い指摘します。またプロジェクトごとに達成すべき品質の基準があるため、基準に沿った数値になるまでレビューと指摘を繰り返します。
ITゼネコンは、プロジェクト全体を俯瞰して見ることができるので、品質上の問題点や指摘をどこよりも早く察知する能力が求められます。下請け企業は、受託した機能しか把握できていない事もあるため全体的な欠点に気づきにくいです。また大規模なプロジェクトになるほど、帳票出力、画面レイアウト、バッチ処理、APIなどの数が増え把握が難しくなります。

ITゼネコンが全体の把握を出来ていないとシステムの欠陥を最後まで見落とすことになり、製品をリリースできなくなることもあるため、マイルストーンを設定し品質を各工程で担保できるようにしましょう。

ITゼネコンの未来

ITゼネコンを良くするには
ITゼネコンを良くするためには、プロジェクトの規模ではなく価値で評価していくことが重要になります。クライアントからの要望に対応してエンジニアのリソースを使って業務にあたることは素晴らしいことですが、これらを当たり前のように請け負っていると、最終的に労働力を時間売りで提供する作業要員になってしまいます。
クライアントからの要望を聞くことも重要ですが、ITゼネコンはクライアントからの要望よりも良い結果や企画を提案することで、工数や原価をマネジメントすることができます。商品やサービスを作って終わりではなく、エンドユーザーにどのような価値を提供できるのか考えた上で業務をすることが、今後のITゼネコンを良くするきっかけになります。

ITゼネコンの今後の展望
ITゼネコンの多重下請け構造による弊害として、給与格差や人材育成、労働環境の課題があります。これらの課題を解決するためには、要件のすり合わせをクライアントとおこない、エンジニアのマネジメントをすることが重要になります。またプロジェクトが炎上した際は迅速に対策を取る事で、人的工数をかけずに対応することができます。

まずは、ITゼネコンの社会構造を根本から見直し一つひとつ課題を解決していくことが重要になります。

まとめ

今回の記事では、ITゼネコンの問題点について解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。

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